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  <title type="text">機械仕掛けのトマト</title>
  <subtitle type="html">何かあったら、書いてます。いろんなことが織り混ざっているので、何でもこい！な方はどうぞ。
更新は、遅いかも。</subtitle>
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  <updated>2008-01-21T12:21:37+09:00</updated>
  <author><name>彩瀬</name></author>
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    <published>2024-11-09T17:54:15+09:00</published> 
    <updated>2024-11-09T17:54:15+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>忙しいけれど、生きてます。</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[いつもながら、ここに投稿する時は、とんでもなく期間を開けてから、急に思い出したかのように登場するのですが&hellip;本当にお久しぶりです。<br />
<br />
ずっと別名義のツイッター企画に入り浸っていた今日この頃ですが、今度はリアルがあまりにも忙しすぎて、創作活動自体出来ない日々が続いておりました。<br />
そんな中、急に久しぶりに二次創作が書きたくなって、先ほどPIXIVの方に、サンル小説を投稿してまいりました。<br />
といっても、私の書くサンルは、いつもじれったい話ばっかりなので、じれったくてドタバタしたお話にはなりますが。<br />
<br />
最近は、お絵かきもあんまりできていないので、心にゆとりを持った生き方をしたいと思う今日この頃です。<br />
<br />
<br />
話が長くなってきたので、前後編に分けることにしたため、ちゃんと放置せずに、後編も書ききらねばなと思っております。<br />
何事も、エンジンの掛かっているうちにやり切らねば&hellip;<br />
<br />
とりあえず、久しぶりにサイトの方にも立ち寄ったので、生存報告でした。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
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    <published>2020-03-15T17:01:03+09:00</published> 
    <updated>2020-03-15T17:01:03+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>忍者さんには、頭が上がらない。</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[お久しぶりです。<br />
いつだってお久しぶりなんですけども、お久しぶりです。(何度も言うでない)<br />
<br />
急に動き出したかと思えば止まり、そして、実は裏で別の活動めっちゃしていたりする。<br />
そんな私です。（え）<br />
<br />
前回の日記から、まだずっとツイッター企画を続けておりますよ！<br />
今回は、比較的長くちゃんとやれていて、個人的にはよくやってるななどと&hellip;。<br />
<br />
さて、そんなことよりも、この私が長年HPを作らせてもらっている忍者さんから、最近メール通知がきておりまして、「おや、何事かいな？」と思ってみてみたところ、なんと、いくつかのサービスを終了するとのことでした。<br />
一瞬、冷や汗を流したものの、どうやらこのHPやブログの部分は、なくなるサービスではないらしく、ホッと一安心です。<br />
それにしても、様々なサービスが時と共に廃れていく中で、忍者さんは未だにちゃんと運営していらっしゃって、その上、必要性の低いサービスを終了させると共に、残ったサービスにより一層力を入れてくださるとのことで、なんというかその&hellip;&hellip;こんなに、更新頻度に波がある謎のHPを存続させて頂けて、大変に有難いと思うばかりです。<br />
<br />
こんなことを言うと、自分も歳をとってしまったなと感じるのですが、個人HP全盛期も過ぎゆき、今は誰もが相互コミュニケーションを前提とした簡易Webサイトのようなもの(つまりはSNS)を持てるようになったことで、こういった場所はどんどん日の目を見なくなるし、ネットショップのような形態でない限り、「何のためにあるの？」といったものになっていくのでしょうが、私は何かがあった時、自分が何かしたくなった時の発信拠点として、今後もここを活用させてもらう所存です˘˘<br />
<br />
なので、もしもこのHPを何気なく、さり気なく、眺めているような奇特な方がいらっしゃった場合には、今後とも何卒よろしくお願いします。<br />
<br />
&hellip;急に、最終回みたいなことを語り出しておりますが、そういうセンチメンタルなことは、残念ながら1mmもないので(笑)、安心して覗きに来てやってくださいね。<br />
<br />
ではでは、またHPの更新は一体いつできるのやらと思いながら、忍者さんに感謝して今後も続けていきたいと思います。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
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    <id>4no5.blog.shinobi.jp://entry/533</id>
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    <published>2019-08-12T23:17:54+09:00</published> 
    <updated>2019-08-12T23:17:54+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>お絵かきしてます</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[前回の日記で、頑張ってる感をめっちゃ出しておいて、結局、また更新止まってるやんけ！<br />
って思われている方しかいないと思うのですが、最近、また、企画ものにハマって、そっちばかり更新しているという体たらくです。すみません（土下座）<br />
<br />
それと合わせて、最近、またイラスト練習したい病が再発いたしまして、毎度、再発する度に「向かねぇ！！」って投げだしている私ですが、今、結構真剣に、毎日何かしらお絵かきしてます。<br />
一応、罪滅ぼし的にご報告すると、このサイトの「PICT」にも貼っているInstagramにほぼ毎日、イラストをアップするというお絵かき修行中なので、ある意味「PICT」は更新してますよ！！というとんでもない開き直り宣言だけさせていただきますね。（こら）<br />
<br />
最近、元々の彩瀬というHNと企画用に使用しているジョゼというHNがごっちゃになってて、ややこしいなと感じてきたのですが、今更、統合するのも如何なものかという感じなので、しばらくはこのまま並行させていただきますが、リンクも&hellip;色々考えながら、どっちも貼ってしまうか&hellip;。<br />
（もしも、混乱している方がいたらあれなんですが、彩瀬＝ジョゼです）<br />
<br />
それぞれの投稿先から、このサイトに辿り着く方自体が珍しいと思うのですが、ややこしいことには違いない。<br />
<br />
最近は、お絵かき優先しているので、小説書きとか、ゲームしたりっていう時間を取らずに本当に黙々と作業しているのですが、たまには息抜きに他のこともしなければなと思う今日この頃。（他にすることといえば、マンガの新刊読むことくらいか？）<br />
<br />
しかし、このサイトは地味ぃに存続していきますので、万が一にも見てくださっているような奇特な方がいらっしゃいましたら、今後ともよろしくお願いします。<br />
<br />
などと、そろりと近況報告でした。（大丈夫だ。私は生きている）]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
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    <published>2019-02-21T00:09:40+09:00</published> 
    <updated>2019-02-21T00:09:40+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>最近どうしたの彩瀬さん</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[自分でも驚くほど頻繁に更新していて、恐い。<br />
どうも、彩瀬です。<br />
<br />
いや、本当に、最近どうしたのってくらい頻度高めに更新している今日この頃なんですけども。<br />
実は、今年はどうにか久しぶりにしっかり創作活動していきたいなって思ったりなんだりしているので、年明けからこう、謎のやる気を出しているところなんですが。（なんなの急に）<br />
<br />
うちの看板キャラクターの要くんのシリーズ短編小説とか、書き始めたら、意外と止まらなくなりまして。<br />
頑張って更新してます。<br />
もちろん、「Garden」も、冊子化計画をこそこそと進めていたりするので、なんか、今年の私やる気だなあと。（やる気スイッチ、押すと決めたら全力だby彩瀬）<br />
<br />
また、何かのタイミングでスイッチ切れたら申し訳ないです。（え）<br />
でも、ここまでサイトも消さずに頑張ってこれているので、このまま頑張っていけると・・・・いいね。（まるで他人事のようだ）<br />
<br />
というわけで、今年は謎のやる気を見せているので、遠巻きに見守ってもらえると嬉しいです。（あんまり近づいちゃダメなんだぜぃ）]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
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    <id>4no5.blog.shinobi.jp://entry/531</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://4no5.blog.shinobi.jp/garden/%E3%80%8Egarden%E3%80%8F%20%EF%BC%8D%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AB%A0%EF%BC%9A%E9%9D%92%E3%81%A8%E7%99%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E2%91%A1%EF%BC%8D" />
    <published>2019-02-05T00:20:28+09:00</published> 
    <updated>2019-02-05T00:20:28+09:00</updated> 
    <category term="Garden" label="Garden" />
    <title>『Garden』 －第二章：青と白の国②－</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<div>リリスは、目の前を泳ぐようにたなびくローブの動きを見ていた。</div>
<div>それはスローモーションで視界の端へと流れていき、襲いかかってきた青年の手の中にあったナイフが地面に突き刺さる、ザクッという音を聞いたことで、漸く魔法が解けたようになって、視界の中の世界が時間を取り戻す。<br />
<br />
</div>
<div>「ぐっ・・！///」</div>
<div>青年は、後ろに尻餅をついた。<br />
<br />
</div>
<div>「まったく・・・武器も持たない女性に対して刃物を振り回すなんて、物騒だなぁ。」<br />
<br />
</div>
<div>どこか飄々とした声でそういったローブの男の手には、片手剣が握られていた。それは、ローブの裾で手元の部分が隠れていたが、磨かれた剣先からして、張りぼてや安物などではなく、本物の刀剣であることが分かる。そして、瞬間ながら寸でのところで相手のナイフの切っ先を狙い弾き飛ばしたその手腕からして、明らかにその扱いに慣れている者のそれだった。</div>
<div>「くそっ！なんだ、てめぇっ！！」</div>
<div>「おや、人に名を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀じゃないか？まぁ、盗人に名乗る名なんてないけどね。」</div>
<div>リリスは、あまりの展開にただ呆然と成り行きを見ていることしかできない。すると、今まで背中しか見せていなかった男は、不意に振り返り、ふぁさりと流れるような動作で被っていたフード部分を開けた。</div>
<div>途端に、輝くばかりの金糸が開けられたフードの裾からこぼれ落ちる。中央で二つに分けられた長い前髪に、低い位置で一つにまとめられた、こちらも背中まで掛かる長さの後ろ髪。垂れ目がちなエメラルドグリーンの瞳が親しげにリリスに向けられた。</div>
<div>リリスは、いつか読んだことのある童話の世界に描かれたエルフという森の妖精の姿を思い起こす。</div>
<div>「お嬢さん、お怪我はありませんか？」</div>
<div>実に優雅な騎士を思わせる動作は、いかにも普段からそうすることに慣れているように見えた。手を差し伸べられて、「は、はい。」と返しながら思わずそのまま自分の手を差し出しそうになったところで、リリスはハッとしてそれを引っ込める。出しかけた手を、もう片方の手で自身の胸の前にギュッと強く抱き締めるようにした。</div>
<div>瞬間、先ほどの自分の行動がフラッシュバックのように頭の中に明滅する。<br />
<br />
</div>
<div>（私は・・・あの時、何を・・・・・・）<br />
<br />
</div>
<div>それを考えた瞬間、胸の奥底から指先にかけて、一度は収まったはずの恐怖が再び湧き上がり、急激な震えが彼女の身体を包んだ。</div>
<div>突然、顔色が悪くなったリリスの姿に、ローブの男は差し出していた手を引き、案じる視線で「・・・君、大丈夫かい？」と声を掛けるが、今のリリスにはその声が聞こえていないようだった。<br />
<br />
</div>
<div>そして、男は次の瞬間、右手に持った片手剣をぐるりと背後へ薙ぎ払う様にして、身体ごと振り仰ぐ。</div>
<div>「ひっ・・！！」</div>
<div>そこには、先ほどの盗みを働いた青年がおり、まさに立ち上がって、どこかへ逃げ出そうとしているところだった。剣の切っ先は、青年の喉元数ミリの位置で止まっている。</div>
<div>「こら。君は、そこから動いちゃダメだろ？これから、この区画の警備に引き渡さなきゃいけないんだから。」</div>
<div>リリスからは見えなかったが、ローブの男は恐ろしいほど綺麗な微笑みを青年に向けていた。顔立ちが整った人物の冷笑ほど恐ろしいものはない。</div>
<div>青年は、微動だにすることもできずに冷や汗を流していた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>その頃アデルは、リリスを追って小道を右へ左へ駆け抜けていた。</div>
<div>周囲の店や人に、リリスが駆けていったであろう方向を聞きながら後を追うが、如何せん、スタートが遅かったので、追いつけるはずもなく、時間が経てば経つほど、二人の道行きを知っている人物はその場からいなくなっていく。</div>
<div>5度目くらいの聞き込みで、路地裏に居合わせたバーの主人に「さあ、そんな子が来たっけかなあ？」と返されたところで、それ以上進めなくなってしまった。</div>
<div>（くそっ、・・・やはり、広すぎる・・・・！）</div>
<div>一旦、足を止めて呼吸を整えながら、引き返して警備に尋ねる方が早いかと考えるが、事件現場である本屋でつい今しがたまで聞き込みを行っていたところから推測するに、それほど早くに事が進展しているとも思えない。とはいえ、この区切られた狭い区画の中、この空間の警備に長けた者たちであるという点では、頼るべきであるともいえる。</div>
<div>アデルは、盗人が捕まるかどうかよりも、リリスが途中で巻かれて盗人を見失ってしまっていることを願った。</div>
<div>（そうであれば、怪我をすることもない・・・）</div>
<div>それが、希望的観測であるということに気づきながら、気を取り直して、一先ず大通りへと引き返すことにした。このまま、複雑に折れ曲がった道の先へ宛もなく進んだところで、運良くリリスと出くわす可能性は低い。<br />
<br />
</div>
<div>日の当たらない路地裏を大通りへ引き返す方向に歩を進めようとすると、先程、ゴミ出しのために出てきていた開店前のバーの主人が、「あぁ、あんた。」と不意にアデルを呼び止めた。店の裏手にある見落としてしまいそうなほど小さな勝手口から顔を出している。</div>
<div>「あんた、さっき盗人を追っていった女の子を探してるって言ってただろ？」</div>
<div>「あぁ、そうだが・・・」</div>
<div>「今、丁度酒を納品に来た業者が言っていたんだがね。向こうで、その盗人が捕まったみたいだよ。」</div>
<div>「！！」<br />
<br />
</div>
<div>アデルは主人からその場所を聞くと、簡単に礼を言って盗人が捕まったという場所を目指した。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>「はい、おまちどうさま。」</div>
<div>カウンター席の内側から、店主がそう声を掛けながら、カップ＆ソーサーを置く。</div>
<div>リリスは、目の前に置かれた細かい柄の入ったティーカップを見つめた。それは、自分が普段使っているようなカップよりも、全体的に少し小さめの造りをしており、分かりやすい花や果物の絵ではなく、目の細かい幾何学模様が陶器の白地の上に青い線で描かれていた。</div>
<div>そっと両手で熱を確かめるようにして顔の前まで持ち上げると、ふんわりとミントの香りが鼻をくすぐる。</div>
<div>「・・・ミントティー。」</div>
<div>「お店のおすすめって書いてあったから、適当に頼んでみたけれど、もしも口に合わないようだったらすぐ変えてもらうから、遠慮なく言ってくれて構わないよ。」</div>
<div>「あ、いえ。ミントティー大好きです。ありがとうございます。」</div>
<div>そう答えて、リリスはペコリと小さく頭を下げた。<br />
<br />
</div>
<div>青年を警備の人間に引き渡した後、ローブの男はリリスをお茶に誘った。傍から状況だけ見ると、まるでナンパ師のようだが、急に具合の悪そうな様子を見せたリリスのことを心配して誘ってくれたのだということが分かったので、リリスはその誘いを無下に断ることはしなかった。実際、自分自身もどうしたらよいのか分からないくらい動揺していたし、どこかで一度、腰を落ち着かせる必要があると感じていた。<br />
<br />
</div>
<div>ローブの男は、最初の印象と違わず女性の扱いに慣れているようで、そんなリリスを労わるように、優しく声を掛けながら近場の喫茶店まで彼女を案内してくれた。</div>
<div>ここへ来るまでの間、男は終始、当たり障りのない話題を振ってくれていて、それは彼女の不安を少しでも和らげようと思ってのことだったのだが、喫茶店に入ってカウンター席に腰かけ、注文したミントティーが目の前に出てくるまで、実のところ、リリスの耳には男の言葉のうち3分の1も頭に入ってきてはいなかった。<br />
<br />
</div>
<div>ミントティーにそっと口をつける。</div>
<div>ミントのさわやかさが鼻を抜けて、喉の奥に吸い込まれるように温かな液体が流れ込んできた。自分が知っているミントティーよりも、少し舌の上に砂糖の甘さが残る。</div>
<div>椅子に腰かけたことで気持ちが落ち着いてきたのか、隣りに座る男の輪郭がゆっくりとリリスの頭の中に読み込まれていく。まるで絵本の挿絵に描かれた人物のようだ。あまりにも整った顔立ちなので、おそらくは、普段から何もしなくても自然と周りに女性が集まるような人なのだろう。と、腹の底にじんわりと染みてきたミントティーのおかげなのか、少し余裕が戻った頭の片隅で、そんなことを考えながら、ゆっくりと息をついた。</div>
<div>そこにきてようやく、リリスは自分がとても失礼なことをしてしまっているということに気が付いて、パッと顔を上げる。</div>
<div>「あのっ、色々とすみません。先ほども、危ないところを助けていただいて、本を盗ってしまった方もちゃんと、警備の方に・・・・しかも、飲み物まで、こんな・・っ！」</div>
<div>今まで静かだったのが嘘のように、一気にしゃべり出したリリスに、同じカウンター席の右隣りに腰かけていた男は、目をパチクリと瞬かせた。次の瞬間、フッと小さく息を漏らすように笑いを零すと、「いやあ、元気になったみたいでよかった。」といって笑った。</div>
<div>「あの、私ご迷惑をおかけして、ごめんなさっ・・・！」</div>
<div>言いかけたリリスの口先にスッと人差し指を掲げて、男は言葉を遮る。</div>
<div>「&ldquo;すみません&rdquo;も&ldquo;ごめんなさい&rdquo;もいらないよ。全部、こちらが好きでやったことだからね。だから、ここで使っていい言葉は一つだけだ。」</div>
<div>自分の口の前に立てられた一本の指先を見つめてから、リリスはまた男へ視線を戻す。急にしゃべり出してしまったので、呼吸を整えるのにほんの数秒、時間が必要だった。息を整えて、5度目くらいの息継ぎで、ようやく言葉を吐き出す。</div>
<div>「・・・・ありがとう、ございました・・。」</div>
<div>「正解。」</div>
<div>男は満足そうにそう返すと、リリスの前に立てていた指を手元に引き戻して、自分も目の前のミントティーに口をつけた。</div>
<div>「んー、やっぱりこの国のお茶は、甘くて俺の口には合わないなぁ。」などと、自分で頼んでおきながら、苦笑いをこぼす。カウンターの内側でコップを拭いていた店主がぴくりと片眉を上げて男を一瞥すると、男は気まずそうに肩をすくめて見せた。<br />
<br />
</div>
<div>「あの・・・」</div>
<div>「ん？」</div>
<div>おずおずとリリスが口を開くと、男は、これ幸いとばかりに店主の視線を逃れてリリスの方へ顔を向けた。</div>
<div>「えっと、あなたは・・・」</div>
<div>「あぁ、すまない。まだ名乗っていなかった。俺の名前は、ルイス。ルイス・ベンジャミン。よろしく。」</div>
<div>「は、はい。こちらこそ、申し遅れました。私は、リリス・ブラウンです。リリスと呼んでください。えっと、それで・・・ベンジャミンさんは、旅の方、ですよね？」</div>
<div>「俺のことも、ルイスでいいよ。・・・まぁ、そうだね。住んでいるところは、ハイドランジアでもネリネでもないから、旅人って表現であっているかな。・・・どうして？」</div>
<div>問われて、リリスはこくりと唾を飲み込み、怖々とした様子で声を発した。</div>
<div>「あの、私、実は他国へ入るのは初めてで・・・もっと言うと、生まれ育った町から離れたこともなかったので、ちょっとびっくりしてしまって・・・。今回みたいなことは、外ではよくあることなのでしょうか・・・。」</div>
<div>ネリネは、特別豊かな国ではない。しかし、その代わりに大きな貧富の差もない国だった。特にリリスが長く暮らしていた都心を外れた田舎町などでは、昔ながらの互助会のような人と人との繋がりが自然とあり、リリスをはじめ、身寄りのない子供でもなんとか一人前の大人になれる環境がそこにはあった。他国に一歩足を踏み入れた途端、先程のような事件に遭遇してしまった。もしかすると、外の世界は自分が思っているよりも、困窮している人が大勢いるのかもしれない。とリリスは重い想像を膨らませる。</div>
<div>そんなリリスの瞳が困惑の色で揺れるのを見て、ルイスと名乗った旅人は彼女が何を思ってそう自分に聞いたのか正しく理解したらしく、彼女の不安を取り除くように優しく微笑んでみせた。</div>
<div>「なるほど。他国へ出てきて、早速こんなことに巻き込まれたことは災難だ。でも、今君が心配しているような理由ではないから、安心したらいい。少なくとも、今回のことに関して言えばね。」</div>
<div>「？」</div>
<div>リリスの顔に疑問符が浮かんでいるのを見て、ルイスは「んー、簡単に説明するとね。」と言って、人差し指を一本立てて話し始めた。</div>
<div>「リリスちゃんが、どこまでハイドランジアのことを知っているのか分からないけれど、実は、ハイドランジアは現在、内政がちょっとごたごたしていてね。検閲が厳しい状況にあるんだ。」</div>
<div>「！そういえば、通常、ここを通過する審査には1ヶ月掛かると聞きました。」</div>
<div>「そう。人もそうだけど、1番大きいのは物資の方だね。ハイドランジア国内で生産されたあらゆるものに対する検閲が厳しくなっていて、今まで国外に流通していた物の半数以上は国外への流通が禁止されている。限られた流通を許可されているものも、関税がかなり高額になっているんだ。だから、ハイドランジア産の物資は、市場で急激に希少価値が高くなっていてね。密輸業者が後を絶たない。併せて、昨今、この国境線に一番近い無国籍地帯での盗難被害が増えているっていう事情がある。」</div>
<div>「そうなのですね・・・すみません。私が知識不足で。」</div>
<div>リリスは、両手で握りしめていたカップをソーサーの上に戻して、ほうと息を吐いた。自身の無知を恥じる様にじっと手元に目線を落とす。そんなリリスを気遣うように、ルイスは明るい声で返した。</div>
<div>「気にすることはない。ハイドランジアの内政の急激な変化に関しては、本当にここ最近のことで、そのために俺も・・・あ、いやそれは君には関係のないことだな。」</div>
<div>「？」</div>
<div>リリスは、不自然に切り上げられた言葉の続きを伺うように視線を向けるが、相手はその視線をにっこりと整った顔面に見合った美しい笑顔で躱した。喫茶店でお茶を飲むという和やかな行為ですっかり忘れていたが、助けられた時にも感じていた只者ではない雰囲気がルイスからやんわりと漂う。</div>
<div>（この人は、一体、何者なんだろう・・・）</div>
<div>今更のようにそんな疑問が頭の片隅に浮かぶが、話し掛けやすい気安さを纏いながら、聞いたところで、その笑顔のまま容易く躱されてしまいそうな気配を感じて、リリスは迷いながら、言葉を探した。</div>
<div>「そういえば、ルイスさんはどちらまで行かれるのですか？旅の途中なんですよね？」</div>
<div>「あぁ、俺は旅の途中というか、ここには連れを迎えに来て立ち寄ったような形なんだ。そろそろ到着しても良い頃なんだが、何かトラブルでもあったのか、なかなか姿を現さなくて困っているところでね。もしも、ダークグレーの髪と瞳の難しい顔をした美人を見掛けたら教えてもらえると助かるよ。」</div>
<div>「そうだったのですか・・・。あ！それなら、検問近くにある窓口に行って聞いてみると良いかもしれません。私たちも、ここで人を探していて、丁度、先ほど呼び出しを掛けてもらったところで・・・・」</div>
<div>そこまで口にしてから、リリスは良いことを思いついたと胸の前に両手を合わせたポーズのまま固まった。瞬間的に、これまでの出来事が映写機を逆送り再生するかのようにキュルキュルと頭の中に映し出されて、それはリリスが本屋へ入る前にまで遡っていき、「はぐれない様にだけ、気をつけてくれ。」といったアデルの顔のシーンでぴたりと止まる。途端に、リリスの顔色がさっと青くなった。それはまるで、「触ってはいけません。」と口酸っぱく親に注意されていた大切な置物に手を伸ばして割ってしまってから、どうしようかと慌てる子供のようで、いや、まさにその通りの状況だったのだから、笑おうにも笑えない。</div>
<div>ここまで、時間にしてほんの1秒にも満たない間だったのだが、その変化は誰の目にも明らかで、隣りに座っているルイスが「どうかしたのかい？」とミントティーを傾けながら声を掛けると、殆どその語尾に被るようにして、ガタッと大きな音を立てながら、リリスは慌ててカウンター席から立ち上がった。</div>
<div>「そうでした！大変です！私、ここへ一緒に来た方に何も告げずにさっきの人を追いかけてきてしまって・・・！」</div>
<div>「おや、それは・・・・連れの人は相当心配しているんじゃないかい？」</div>
<div>「心配するのを通り越して、呆れられているかもしれません・・・。とにかく、元の場所に戻らないと・・・っ！あ、すみません！お会計を・・！」</div>
<div>荷物の用意をしながら慌てて財布を取り出そうとしたリリスの手元を、スッと大きな手が遮る。</div>
<div>「！」</div>
<div>「レディをお茶に誘っておいて、支払わせるような無粋な男と思われるのは侵害だな。」と、ルイスは実に自然な動作で金額を店主に差し出した。つくづく女性の扱いに長けていると思われるその所作は、その所作に見合う整った顔立ちに浮かべられた微笑みとセットで行われていて、そこには有無を言わせない何かがあった。先の一連のやりとりも手伝って、リリスは一言「あ、りがとうございます・・・。」と返す以外の選択肢を見つけられずに、そっと取り出した財布をリュックの中にしまう。</div>
<div>見ると、ルイスもすでに同じように席を立っており、リリスが店の出口へと歩き出すと、さも当然という顔で、自分も連れ立って歩き出した。</div>
<div>「さて、また変なことに巻き込まれるとも限らないから、元の場所まで送らせてもらうよ。ネリネ側の検問近くでいいのかな？」</div>
<div>最早、確認ではなく決定事項として告げられたそれは、リリスに疑問や断りの言葉を挟む余地を与えない。戻りの道が分からない状況ではあったので、有難い申し出には違いなく、リリスも、それに対して何も言わなかった。心の中で、「この人はどうやら、相当世話焼きな性格なのだろう」と顔面偏差値平均点以上の男に対して抱くにしてはとてもお粗末な感想を持ってはいたが。</div>
<div>「はい。わざわざ、お気遣いいただきありがとうございます。」<br />
<br />
</div>
<div>喫茶店から外へ出ると、そこは大通りに面した店で、リリスはいつの間にか自分が検問から伸びていたメインストリートまで戻って来ていたことに気付く。盗みを働いた青年を追いかけていった先は、確か細い入り組んだ路地奥の方であったことを思い返すと、どうやら自分は、ずいぶんと長いこと、ぼんやりとした状態でこのルイスという男に引きずられるようにしてこの店まで連れてこられたのだと思った。ここまで歩いてきた記憶があまりにもおぼろげだ。</div>
<div>「この通りなら、覚えがあります。このまま真っすぐ行けば、検問に辿り着けますよね？」</div>
<div>そう言って、背後のルイスを振り仰いだのと、リリスの腰高辺りに軽い衝撃が走ったのはほぼ同時で。</div>
<div>「え、わっ！？」</div>
<div>音としては、トスッという軽い音に過ぎなかった。</div>
<div>何事かと衝撃のあった部分に視線を下げると、すぐ後ろへ走り去っていく小さな後ろ頭が目に入る。茫然とその方向を目で追うリリスのよろける身体を、すぐ後ろにいたルイスが支えた。</div>
<div>「大丈夫かい？」</div>
<div>声を掛けると、すぐにルイスも背後へ走り去った少年の背を見つめた。そして、険しい顔で静かに、しかし素早くリリスに尋ねる。</div>
<div>「リリスちゃん、何かなくなったものはないかい？」</div>
<div>「え、・・・」</div>
<div>「いいから、その辺りに入れていたものをすぐに調べて。」</div>
<div>ルイスの言葉に漂う不穏な空気に、急に心拍が上がる。慌てて腰の辺りを探ったところで、リリスは自身に一体何が起こったのか理解した。</div>
<div>「！身分証が、・・・・私の身分証がありません・・っ！」</div>
<div>「リリスちゃん、さっきの子を追うよ！！」</div>
<div>リリスが探っている間も少年の行く先をずっと見ていたのであろう、ルイスはすぐに駆け出した。リリスも、続いて後を追う。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>「あぁ、本を盗んだって奴なら、確かに今しがた、ここに連れてこられたよ。」</div>
<div>アデルは、盗人が捕まったという場所に一番近い警備の詰め所へ訪れていた。</div>
<div>窓口の男は、警備隊の一員とは思えないふくふくとした輪郭の頬を揺らして、顔に合わない小さなサイズのメガネの下からアデルを見上げる。</div>
<div>「その時、赤茶色の髪の少女が来ませんでしたか？」</div>
<div>「赤茶色？いや、盗人を連れて来たのは、ずいぶんと顔の整った男だったけど・・・赤茶ではなかったかな。」</div>
<div>「男？」</div>
<div>「そうそう。ここらじゃなかなか見ないくらい整った顔だったから、びっくりしたよ。あれは、国外の人間に間違いないね。いかにも、&ldquo;旅人&rdquo;って格好だったから。」</div>
<div>窓口の男は、手元に置いた紅茶を飲みながら、昼休憩のおしゃべりでも楽しむかのように話す。とても勤務中の態度には思えず、アデルはあからさまに嫌そうな顔を向けたのだが、相手の方は全く意に介していない様子だ。</div>
<div>「ありがとう。勤務中にすまなかった。」</div>
<div>これ以上話を聞いても無駄だと判断して、窓口を離れる。半分くらいは嫌味のつもりで言ったのだが、「どういたしましてー。」と呑気な返答に、頭を抱えたくなった。</div>
<div>（困った。警備に引き渡したのがリリスじゃないとすると、これ以上探しようがない。あとは、入口の検問まで戻ってみるしかないか・・・・。）</div>
<div>盗人を引き渡しに来た顔の整った男というのも気になるが、人を尋ね歩くには情報量が少ない。もう一度だけ、窓口に戻って男の特徴を聞こうかと、アデルが振り返った時だ。<br />
<br />
</div>
<div>「だから、茶髪の女にしつこく追いかけ回されて、無理矢理振り切ろうとしたら、金髪の綺麗な顔したおっかない男が、突然横から入ってきたんだよ！」<br />
<br />
</div>
<div>（！）</div>
<div>詰め所の奥から、若い男の訴えるような声が外まで聞こえてきた。</div>
<div>アデルは思わず足を止めて、その声に耳を傾ける。</div>
<div>「ぎゃーぎゃー喚くな！・・・・金髪だかなんだかしらねぇが、こんな簡単に捕まっちまうなんざ、てめぇの腕が落ちたんだよ。」</div>
<div>訴える声よりもあきらかに落ち着きがあり、しゃがれた響きの中にどこかドスのきいた音が混じった声が返す。</div>
<div>「女一人だったら、俺一人だって、簡単に振り切れたんだよ！」</div>
<div>「ぬかせっ！その前に、追いつかれて壁際まで追い詰められてんじゃあ、いずれにせよ同じじゃねぇか。」</div>
<div>そっと、詰め所の奥へ視線を向けると、檻状の拘留場所に入れられた青年と、その檻の外のすぐ傍らで、背のない木椅子に腰かけた男が話をしていた。アデルからは骨の浮いた線の細い背中しか見えないが、叱責している声は、檻の外に腰かけている男の方で間違いない。</div>
<div>（捕まっている方が、本を盗んだ奴か・・・・）</div>
<div>会話の内容からして、檻の外にいる方も善人という訳ではないだろう。あからさまに、同じ盗人グループの人間と思われるにも関わらず、警備の者は誰もその男を気に掛ける様子はなく、あののんびりとした窓口の男も、相変わらず楽しそうに新聞片手に紅茶を飲んでいる。</div>
<div>（他国の情勢に口を挟むつもりはないが・・・・この国の警備はどうなっているんだ。）</div>
<div>奥にいる2人に気づかれない程度に、剣呑な視線を送ってみるが、もちろん、窓口の男がその視線に気づくことはない。</div>
<div>「とにかく、あの野郎はとんでもなく強かったんだ！あれは、きっと他国の諜報員に違いねぇ！捕まえて吐かせれば、あっちの方が困るに決まってる！！」</div>
<div>「ああ、ああ、てめぇの言い分は分かった。そっちは、もう他の奴らに行かせてる。お前を追い詰めた茶髪の女ってのも一緒だったみてぇだから、まとめて痛い目見させられるだろうよ。いいからお前は、早いとこそっから出られるように、オヤジへの言い分を考えとくんだな。」</div>
<div>檻の外に座っていた男は、それだけ言うと木椅子から立ち上がり、ゆっくりと詰め所の出口へ向かう。</div>
<div>「おう、あんたにも世話かけたな。あとで別の奴が迎えに来るだろうが、また頼むぜ。」</div>
<div>「はいはい。ご苦労さんでーす。」</div>
<div>窓口の男と親しげに声を掛け合い、外へ出てきた。<br />
<br />
</div>
<div>「ったく、捕まるなんざ面倒かけやがっ・・・て・・・・っ！？」</div>
<div>「動くな。」</div>
<div>低く、怒りを押し殺した声色が詰め所から出てきた男の耳朶を震わせた。</div>
<div>アデルは、左手で細身の男の腕を掴み、相手の背中に押し付けるように固定した格好で、右手で背後から男の首根っこをがっちりと掴む。</div>
<div>「騒ぐな。騒ぐと、お前の左腕が曲がらなくていい方向に曲がることになる。」</div>
<div>「・・・へへっ、兄ちゃん誰かと人違いしてるんじゃねぇか？おれぁ、あんたに迷惑かけた覚えはねぇけどな。」</div>
<div>へらへらとした喋り方をする男の首を掴み上げた腕にぎしりっと力が加わった。</div>
<div>「今拘留所に入っている男を連れてきた奴を、誰かに追わせているんだろう。どうする気だ。」</div>
<div>「・・・あんた、あの野郎の知り合いか？それとも、一緒にいたっていう女の方か？いずれにしても、下手なことはしない方が身のためだぜ。」</div>
<div>男は急に声を落として、自分の状況には見合わない脅すような言葉を吐き出す。アデルはその物言いに違和感を覚えた。</div>
<div>「・・・・盗人集団の割に、随分と警備隊と仲がいいんだな。」</div>
<div>「それが分かってんなら、尚更、話は早い。兄ちゃんも頭が良いなら分かるだろ？俺らと事を構えるのは、よくねぇってことがさ。」</div>
<div>「追わせている2人はどこだ？場所を答えろ。」</div>
<div>「おいおいおいおい、だぁから、さっきから言ってんだろ？俺らを敵に回さない方が、身のためだってな・・・っ！！」</div>
<div>男は不意に、固定されていない右手の袖から小さなナイフを抜き出し、背後のアデルへ切りかかろうとした。が、左腕の固定と、首背面を掴み上げたアデルの手の力は強く、ピクリとも身体が回らない。ナイフを手にした右手が、中途半端にアデルの脇腹の横で止まる。その膂力の大きさに、ここにきて男は自分の背後にいる人物がその辺にいる一般市民ではなく、なんらかの訓練を受けた人間であることに気づく。背後からの気配が、急激に冷え込むのを肌に感じて、それに反するように自身の背に冷たい汗が流れていくのを感じていた。</div>
<div>「・・いやっ、今のは、ほら、ちょっとした挨拶みたいなもんで、・・・兄ちゃんがあんまり怖い声出すもんだから、びびっちゃったっていうかさ、・・・だから、そのっ・・・」</div>
<div>「俺は、忠告したぞ。」</div>
<div>「へっ？・・っつ、！！！？？？あ、がはぁっつ！！！！！？？？？？」</div>
<div>ごとり。いや、ごきりというのか、鈍い音が男の身体の中を通って内側から鼓膜を震わせる。</div>
<div>押さえ込まれていた左腕の肩部分が、熱の塊みたいに熱くなって、そこから先の感覚が鈍くなる。脳が自分の身体の変化を認識した瞬間、膝が故障でもしたみたいに笑い出し、男は力なくその場に膝を着いた。</div>
<div>「な、な、お、お、折れ・・っ！！！？？？」</div>
<div>「安心しろ。関節を外しただけだ。・・・もう一度聞く。2人はどこだ？」</div>
<div>アデルは男の関節に軽くひねるような力を加えながら、初めと変わらない口調で尋ねる。地面に塞ぎ込んだ体制の男に合わせるように自身も膝を折って、相手にだけ聞こえる声の大きさで話しかけており、周囲から見たら、気分が悪くなった人間を介抱してやっているようにしか見えない。</div>
<div>痛みと混乱で、抵抗という言葉が完全に頭の中から消失してしまった男は、震えるままに声を絞り出した。</div>
<div>「お、大通りを西へ折れた先の路地裏に・・・っ」</div>
<div>「もっと詳しく。」</div>
<div>「や、宿屋と時計屋の間を入ったところだ・・・っ！！」</div>
<div>「助かった。協力感謝する。」</div>
<div>「ひっ、いぎあっ・・・！！！！」</div>
<div>またしても、ごとりという鈍い音と痛みが身体の内側を巡り、男は肩から指先までの感覚が繋がって、じんじんと痛みが登ってくるのを感じていた。それは、外した関節を元に戻した音だったのだが、あまりのことに自身の身に起こったことに頭がついていっていないのか、アデルが腕を離しても、男は地面に伏して震えるまま立ち上がれずにいた。</div>
<div>（少し、脅しすぎたか・・・・）</div>
<div>心の中で反省しつつ、素早くその場を去ろうと立ち上がる。<br />
<br />
</div>
<div>「・・・・王家の差し金か・・・ナタリア様の、刺客なのか・・っ」<br />
<br />
</div>
<div>震える声はあまりにも小さく、傍にいたアデルの耳が辛うじて拾えるくらいの大きさだった。</div>
<div>「・・・何か勘違いしているようだが、俺は誰かの命でお前を襲ったわけではない。」</div>
<div>アデルの声が届いているのか、震える男はブツブツと小さく呟くばかりで、最早、アデルの方を見てはいなかった。</div>
<div>（とにかく、早くリリスとその顔の綺麗な男とやらを追わなくては・・・・）</div>
<div>先程から再三話に上がってくる&ldquo;顔の綺麗な男&rdquo;というのに、何やら嫌な予感を感じとりつつ、アデルは警備詰め所を後にした。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>「なんか、こんなことじゃないかとは、思ってたんだけどねぇ。」<br />
<br />
</div>
<div>ルイスは、相変わらず軽い口調で、自分たちの現状を言葉にする。</div>
<div>リリスの身分証を盗っていった少年を追って、大通りから右に折れた路地裏に入ったところで、2人は見るからに柄の悪そうな男達に囲まれていた。</div>
<div>彼らの指示でリリスから盗みを働いたのであろう少年は、男たちの中の一人に盗った物を手渡すと、小さな銀貨を受け取って、その奥へと走り去っていってしまった。</div>
<div>路地の奥から進み出てきた目元に傷跡のある顔の男が、少年から受け取ったリリスの身分証を眺めながらしゃべり出す。</div>
<div>「たまにいるんだよなぁ、お兄さんたちみたいな正義感の強い旅行客ってやつがさぁ。よその国のことにいちいち口を挟んでくるのが趣味だとでも言うみたいに。ま、でも、今回はいい教訓になったでしょ？関係のないことには首を突っ込むなっていう。」</div>
<div>言いながら、ひらひらと身分証を振る。</div>
<div>「その話から察するに、さっき俺が警備に突き出した盗人の仲間・・・ってところかな？」</div>
<div>手元の刀剣に手を添えながら、ルイスはざっと辺りを見渡し、相手側の人数をカウントしていた。</div>
<div>（8人ね・・・・）</div>
<div>背後にリリスを庇いつつ、8人を相手にどこまで立ち回れるかと計算するが、相手側も馬鹿ではないらしく、長物である刀剣を持ったこちらが立ち回りにくい路地裏に誘い込んできていることを考えると、無闇矢鱈に剣を抜くのも得策ではなさそうだ。</div>
<div>「わ、私の身分証を返してください・・っ！」</div>
<div>悪い事態に陥っていることを感じつつ、リリスもまだ声を発する気力は残っている。でなければ、男8人に囲まれた状況で、自身の主張を声に出すことは叶わないだろう。目元に傷のある男は、人数に武があるからか、ルイスが剣に手を掛けていることも気にすることなく、余裕の表情で身分証をひらりひらりと振り続ける。</div>
<div>「こいつを見たところ、そっちのお嬢さんは本当にお人好しの一般市民みたいだが、金髪のあんたは、一体何者だ？この無国籍地帯に入るのに刀剣の携帯まで許されてる。・・・まさか、抜刀までは許可されてないよな？となると、さっきこちらの仲間を捕らえるときにその剣を抜いてたことがバレると、あんたもヤバイんじゃないのか？」</div>
<div>男の言葉に、リリスもハッとしてルイスの顔色を伺うが、ルイスは表情を崩さないまま返した。</div>
<div>「・・・・それはどうかな？もう一度、試してみるかい？」</div>
<div>柄に掛けた手は離さない。</div>
<div>リリスは、やはりこの人物もなんらか特殊な理由を持った人物なのだと思ったが、この場でそれを尋ねる余裕はなかった。</div>
<div>（どうしよう・・・私が一緒についてきてしまったから、ルイスさんも戦い辛い状況に・・・）</div>
<div>ぐるりと視線を巡らせるが、見事に退路を塞がれており、自分一人でもここを突破して逃げ出すのは厳しいように感じた。</div>
<div>「まぁた、自分が迷惑かけてるって思ってる？」</div>
<div>「！」</div>
<div>突然掛けられた言葉に顔を向けると、ルイスは周囲の男達の方へ警戒の視線を向けたまま、口元だけにっこりと笑んでいた。</div>
<div>「言っておくけど、こうなる可能性も考えた上で、リリスちゃんについてくるように指示したんだ。どうせ、こちらが二手に分かれたら分かれたで、向こうも二手に分かれるつもりだっただろうし。そうなると、それこそ相手の思う壺だからね。」</div>
<div>そんなことまで考えていたとは思わず、リリスは改めて目の前の男が只者ではないと感じていた。とはいえ、ルイスもこの状況の打開策を探しているのか、口調や表情には出さないまでも、相手の出方を伺いながら、剣の柄にかかった手に力が入っているのが分かった。</div>
<div>剣の腕が立つのだとしても、狭い空間で人一人を守りながら戦うのがどれほど難易度の高いことなのかくらいは、リリスにも想像がついた。</div>
<div>顔に傷のある男が両隣に立つ他の仲間に視線を送ると、周囲を囲む男たちはじりじりと2人を囲む円を狭めてくる。</div>
<div>（左右に1人ずつ。前3人。後ろ3人。どこからくる？）</div>
<div>柄を握る手に更に力が入り、刃の部分が鞘から3cm程度見えた。その光に反応して、正面に立ちはだかる男たちが瞬時に地面を蹴って、前へと素早く進み出る。ルイスもついに覚悟を決めて、剣を抜き去ろうとした時、鞘から刃が出切るよりも早く、目の前の男たちの動きが止まった。</div>
<div>「！？」</div>
<div>ルイスも同じように剣を抜く手を止める。見ると、どの男も目の前の自分ではなくその更に後ろへと視線を向けていた。</div>
<div>「うぐぅっ・・・！？」</div>
<div>続けて背後から男のうめき声が聞こえ、ルイスは慌てて背後を振り仰ぐ。ルイスが目を向けた時には、こちらに背を向けて路地の入口に立っていた見張りの男が地面に倒れ込むところだった。</div>
<div>同じく異変に気がつき振り返っていたリリスが、そこに立つ姿を目にして、声を上げた。<br />
<br />
</div>
<div>「アデルさん！」<br />
<br />
</div>
<div>アデルはその声に、探し人が確かにそこにいることを確認する。</div>
<div>「リリス！無事か・・・っ！？」</div>
<div>走り寄ってくる新たな乱入者に周囲の男たちに動揺が広がり、当のリリスたちへの注意が逸れたのをルイスは見逃さなかった。</div>
<div>「リリスちゃん、そのまま走って！」</div>
<div>「！はい！」</div>
<div>リリスの背負うリュックを軽く押すようにして、瞬時にルイスが声を掛けた。リリスもそれに反応して、通りの方向へと走り出す。不意をつかれた男たちは、自分たちの間を2人がすり抜けて行くのを止めきれない。</div>
<div>「そいつらを逃がすな！！」</div>
<div>傷の男の罵声が飛ぶが、2人はそこを振り切っていた。</div>
<div>そして、男たちの囲いを突破して走ってきたリリスとその背を押すようにして駆けてきた男の姿に、アデルは目を見開く。<br />
<br />
</div>
<div>「ルイスっ！？なんでお前がここに！」</div>
<div>「やぁ！まさか、リリスちゃんの連れっていうのが、アデルだとは俺も驚いたよ。」</div>
<div>「えっ！？お二人は、お知り合いなのですか！？」<br />
<br />
</div>
<div>リリスがアデルとルイスの方を交互に見ながら驚きの声を上げるが、すぐ背後から男たちが追ってきている状況で、悠長に説明をしている暇はない。</div>
<div>ルイスはそのままリリスと共に、アデルとすれ違うようにして、その背後に身を隠した。</div>
<div>「アデルさん、あの人たちは私が追いかけた人の仲間みたいで・・・・」</div>
<div>「分かってる。」</div>
<div>「リリスちゃん、ここはアデルに任せて大丈夫だよ。」</div>
<div>見ると、ルイスはすでに剣の柄から手を離し、先程までの緊張感は完全に消失している。男たちが追ってくるのを、余裕の表情で見守っているような様子すらある。</div>
<div>「逃げない方がいいのか？」</div>
<div>「厄介なことに、リリスちゃんの身分証を向こうの男に盗られちゃっててね。」</div>
<div>ルイスがそう言うと、アデルは追ってくる男たちに向かって、半身を引いて構えをとった。</div>
<div>「一応聞いておくけど、剣とか使う？」</div>
<div>今思い出したかのようにして腰の剣に手を伸ばし、アデルに尋ねるルイスの声は、まるで食卓の端に置かれた調味料入れを持ち上げて「塩いる？」みたいな聞き方だった。<br />
<br />
</div>
<div>「不要だ。」<br />
<br />
</div>
<div>そう一言発したアデルは、吐き出した言葉と同時に、地面を蹴った。<br />
<br />
</div>
<div>リリスはそれを後に、&ldquo;踊っているようだった&rdquo;と例える。</div>
<div>追ってきた1人目の男の拳を避け、避けざまに右手で手刀を一発、首側面に叩き込む。続いて来た2人目はそのまま腹部に左手の拳を叩き込み、3人目のナイフの切っ先を下に避けると、その勢いのまま腕を取って背後に投げ飛ばした。ここまで、わずか5秒足らず。</div>
<div>残りの男たちが一瞬怯んで足を止めるのにも構わず、一息に距離を詰める。4人目の喉元に手を掛けると、そのまま引きずり倒すようにして、5人目へと投げつけた。路地壁面に勢い良くぶつかって、そのままズルズルと地面にへたりこむ。</div>
<div>残り3人となったところで、リーダー格であろう傷の男が、一歩後ろに身を引いた。</div>
<div>「おい！この男を早く止めろっ！！」</div>
<div>ここまでの動きを見ている第三者からしたら、「無茶な！」と思うようなことを叫ぶ男に、それでも逆らうことはできないのか、両側の2人が手に刃物を取り出して構える。</div>
<div>「こ、このぉぉおおおおおっ！！！」</div>
<div>勢いだけで前に飛び出してきた男に対して、アデルは身を翻すように刃の先を交わしながら、その勢いのまま、相手の脳天に向かって後ろ回し蹴りを繰り出した。</div>
<div>更にそのまま蹴り出した足で相手の身体を踏み台にして、左足を前に蹴り出し、呆然と立ち尽くしたもう1人の顔側面に蹴りを叩き入れると、その緩んだ手元から浮いたナイフを手に取る。</div>
<div>傷の男はそこまでの一連の動作を目にして、漸く自分が相対しているものが尋常ならざる事態だということに気がつき、慌てて路地奥へ逃げ出そうとするが、そうして身体の向きを変えたその時には、アデルはすでに男の背後に迫っていた。</div>
<div>男の首の後ろに手を掛け、前の地面に押し倒す。顎が直撃した男は、幸運にも舌を噛まなかったものの、ぶつかった衝撃がその痛みとともに顎から頭の上まで駆け抜ける感覚と眼球が激しく上下するのを感じ、次に揺れる視界が鮮明になると、自分の眼球スレスレのところにナイフの切っ先が迫っているという恐怖に「ひっ・・・！」と思わず、噛み締めた歯の奥から声を漏らした。瞼を閉じたら、その瞼が切れるのではないかという距離だ。<br />
<br />
</div>
<div>「彼女の身分証を返してもらおうか。」<br />
<br />
</div>
<div>最早、身分証のことなど男の頭の中から抜けて落ちてしまっていたが、ただただ食いしばった歯の奥から「はいっ・・・」と気の抜けたような声を発することしかできない。<br />
<br />
</div>
<div>ここまでの状況を見ていたリリスは、ぽかんと口を開けたまま、立ち尽くしていた。それこそ、ルイスに助けられた時以上の衝撃だ。</div>
<div>そんなリリスに、ルイスは慰めともつかない言葉を掛ける。</div>
<div>「接近戦で、アデルに敵うのは熊くらいだと思うよ。」</div>
<div>「そう、なんですか・・・」</div>
<div>リリスは頭の中で、熊と戦うアデルの姿を想像した。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>To be continued.&hellip;<br />
<br />
<br />
</div>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
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    <published>2019-01-13T16:09:05+09:00</published> 
    <updated>2019-01-13T16:09:05+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>10年振りくらいのサイト大改装</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[こいつ、もう考えることを放棄しているんじゃないかなというか、半分くらい息がないんじゃないかって、きっと多方面から思われているのではないかという恐ろしい更新スピードの本サイトですが、サイト開設11年目にして、サイト全体のデザインを一新いたしました。（ここまで一息）<br />
<br />
いつも、「この広告は、3ヶ月以上更新がないサイトに表示されます」っていう「おいおい、余計なお世話だぜ、ベイベー。私は、この3ヶ月間フツーにめっちゃ忙しかったりしたんだよ私生活において。ほっといてくれ。」って言いたくなるようなトップページの広告が出てから、ものごっつ久しぶりの日記更新をしている彩瀬です。（そろそろ息切れ）<br />
<br />
こちらの創作サイトをはじめてから、恐ろしいことにもう11年が過ぎておりました。（白目）<br />
というわけで、ここらでサイトの見た目から綺麗さっぱりと改装をいたしまして、更に創作系の古い物は一掃いたしました。（綺麗な笑顔）<br />
二次創作目当てできていただいていた方々には、大変申し訳ないことの極みなのですが、とうとうメインで据えていたナルト小説も表からは消しまして、小説は現状、オリジナル長編の「Garden」一本になっております。<br />
気の向くままに、短編とか、何かを急に書いたりすることもあるかと思いますが、いずれにせよのんびり続けていきますので、そこんとこよろしくお願いします。<br />
<br />
ちなみに、いつかの日記に書いていた通り、Pixivの方に彩瀬名義でアカウントを持っておりまして、二次創作系は、今後そちらに投稿していきたいと思っている次第です。<br />
ここにきて、ワンピースとかデュラとか、今まで誰に見せるでもなくこそこそ書き溜めていた小説とかをそっちに投稿していたり、「お前急にどうしたよ」って感じで、新しいのを書いたりして、また投稿したりしておりますので、そちらもちょいちょい覗いていただければと思います。<br />
過去のサイト掲載していたものは、もしも気が向けば、気まぐれにそちらに上げることもあるかもしれませんが、・・・うーん、ない気もする。（どっち）<br />
<br />
どうでもよいことですが、PICTも管理が楽になるようにTunblrとInstagramのアカウントをリンク表示させるという小狡いやり方にしておりますが、あしからず。<br />
これで、少しでも創作を積極的にやっていくようになれば万々歳なのですが、どうかなあ。。。<br />
<br />
そして、日記の方でも、二次創作系の小説については削除していこうかと思います。<br />
が、その他、私の11年前から続く恥ずかしい文面の数々は残しておきますので、たまに覗いて、「こいつヤバイ奴だな」って思ってもらえれば私はハッピーです。<br />
<br />
新しいサイトデザインは、前のデザインテンプレートを使わせていただいていたところと同じところからいただいたものなのですが、一応、リンクはつけているものの、実はそのサイト様自体はすでに閉鎖しておりまして。。。<br />
しかし、そこのデザインテンプレートが大変気に入っていたため、サイトご存命時にそのサイトからめぼしいテンプレートをダウンロードさせていただいており、またしても使わせていただいてます。<br />
このテンプレートを作った方に、もしも一生のうちで再び巡り会える機会があるのなら、心の底から「大好きです」と伝えたいとしがないいちサイト管理人が言っていたことをどなたが伝えてください。（え）<br />
SNSやらなんやらが台頭した、このHP氷河期にサーバーを続けてくださっている忍者さんにも感謝しかないと感じる今日この頃です。（しみじみ）<br />
<br />
今年は、思い切って憧れのグッズとか、小説の実本化とかそういうことができたらいいなあなんて、夢のようなことも考えているので、もしもこのサイトを見ているどこかの心優しい人がいるのであれば、「コイツの言ってること、いつも適当だしな」と半分以上聞き流しながら、楽しみに待っていて頂けると、嬉しいです。<br />
<br />
と、急に長文でしゃべり出したりする管理適当な管理人ですが、今後共よろしくお願いしまっす！<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>4no5.blog.shinobi.jp://entry/529</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://4no5.blog.shinobi.jp/garden/%E3%80%8Egarden%E3%80%8F%20%EF%BC%8D%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AB%A0%EF%BC%9A%E9%9D%92%E3%81%A8%E7%99%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E2%91%A0%EF%BC%8D" />
    <published>2018-07-16T18:23:37+09:00</published> 
    <updated>2018-07-16T18:23:37+09:00</updated> 
    <category term="Garden" label="Garden" />
    <title>『Garden』 －第二章：青と白の国①－</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<div>「アデルさん！」</div>
<div>リリスは弾む声で呼びかけると、噴水の縁に腰掛けているアデルの眼前に立った。ステップを踏むような足取りだったためか、足の止め方が多少慌ただしい調子になってしまっていたが、彼女にそんなことを気にしている様子はない。</div>
<div>アデルが顔を上げると、大分口元の締りが悪くなった少女の顔に出会った。</div>
<div>その頬は興奮のため、僅かに上気して赤く色付いている。瞳は紅茶の水面のようにキラキラと瞬いて、全身から溢れ出す嬉しさを隠すことなく周りに放っていた。</div>
<div>彼女の手に握られた二つ折りの小さな紙片に目を留めて、アデルはホッと息をつく。</div>
<div>「無事、発行されたのか。」</div>
<div>「はい！これで私も、お隣りの国に入れます！」</div>
<div>リリスは嬉しさを滲ませた声で、その二つ折の紙片をパッと開いて、アデルの前にかざしたのだった。</div>
<div>そこには、&ldquo;Lillith・Brown&rdquo;という文字と生年月日などの情報に加え、この国ネリネの国印が押されていた。</div>
<div>「わぁ！これが身分証なんですね！」</div>
<div>リリスは、長方形の紙片を両手の指の先で挟んで、じっと見つめる。<br />
</div>
<div>ラントの町を出てから、すでに2日が経過していた。</div>
<div>半日をかけてネリネの首都ネリアへ到着し、そこから検問を通って、国境を接する隣国ハイドランジアへ入り、一国を通過する形でその先のガーデンハートへ向かおうとしたところで、リリスが身分証を持っていないことが判明したのだ。</div>
<div>国によって厳密さは異なれど、どの国でも子供が生まれればそれを町の役所に届け、国は自国民を管理する。そこへ更に身分証という制度が確立されたのは、ガーデンハートが建国された後からだ。それこそ、国間の貿易が盛んになり、人も物も頻繁に行き来をするようになってから、国境を超える際には、その者がどの国の者なのかを示すための重要な証明書となっている。</div>
<div>ガーデンハート建国以前には考えられなかったことだが、旅行という娯楽目的での国の移動も、ある程度許されている昨今、大抵の人は皆、この身分証の発行を早々に行っているものなのだが、リリスは、今まで自分の母国から出ることなど考えたこともなかったため、その制度すら、あまり認識がなかったようだった。</div>
<div>（彼女の出自を聞いた身としては、ブラウンさんがちゃんと彼女の届け出を国に出してくれていただけ、よかった・・・。）</div>
<div>彼女が拾われた子供だという話を知っていたアデルとしては、よもや、国民登録すらされていなかったらどうしようかと肝を冷やしたものだが、役所へ行って調べてもらうと、案外すんなり登録が見つかったので、胸を撫で下ろした。</div>
<div>ただ、それでも初回の身分証発行には、過去その者がこの国に暮らしていたことを証明するために、役所の様々な部署へ足を運ばねばならず、手続きが煩雑になってしまうため、今日の今まで発行に時間がかかってしまったのだ。<br />
<br />
「先ほど、発行の知らせが来て君が役所へ向かっている間に、宿の荷物は引き上げてきた。このまま、検問を通ろう。」</div>
<div>「はい！」</div>
<div>リリスは弾んだ声のまま、アデルから自分の荷物を受け取った。<br />
</div>
<div>隣国ハイドランジアは、ネリネの南東部に国境線を構える国だ。</div>
<div>接している国境線は長いが、実際に出入りのできる検問が設けられているのは、首都ネリアと接している南側の端の極一部のみとなる。</div>
<div>アデルたちと同様に、ネリネからハイドランジアへ入る人の列が、検問に向けて伸びていた。</div>
<div>「この検問を抜けたら、すぐにお隣りの国なんですよね？」</div>
<div>「いや、この先は無国籍地帯になっている。」</div>
<div>「無国籍地帯？」</div>
<div>「国によって造りも異なるが、大抵の場合は、国と国の検問の間に無国籍地帯が設けられていて、そこで更に入国審査をされる。国内に実際に入れるのは、その審査を通ってからだ。」</div>
<div>「審査には、どのくらいかかるんですか？」</div>
<div>「これも国によってまちまちだが・・・ハイドランジアの場合、約1ヶ月。」</div>
<div>「1ヶ月も！？」</div>
<div>驚くリリスに、アデルはこほんっと小さく咳払いをして続ける。</div>
<div>「通常の場合はだ。今回は、先にハイドランジア側からガーデンハートの者に迎えに来るように頼んである。入国する国内側に身分を保証できる者がいる場合、入国審査は簡単な手続きだけで済ませることができるんだ。」</div>
<div>「はぁ・・・そうなんですね。」</div>
<div>リリスが感心したように言うので、何も特別な話はしていないのに、アデルはなんだかむず痒い気持ちになった。ラントでは、彼女に振り回されてばかりだったが、一歩町の外の世界に出てしまうと、リリスはなんでも初めてだと言って、喜んで色々なことを聞いてきた。彼女が、いかにあの町から出たことがなかったのかということを痛感させられる。</div>
<div>アデルはふと、マルグリットがあの町のことを&ldquo;箱庭&rdquo;と呼んでいたことを思い出した。</div>
<div>（彼女の力のこともあるし、自然と町の外へ出すようなことは避けてきたんだろうな・・・。）</div>
<div>それは決して、彼女を傷つけるためではなく、あくまでも守るためだったのだろう。それでも、ある程度分別のつく年齢になれば、周りの大人たちが自分のことを町に縛り付けている事実に気がついたはずだ。</div>
<div>（それに気がついたとき、一体、彼女はどう思ったのだろう・・・・。）<br />
</div>
<div>「・・・アデルさん？」</div>
<div>いつの間にか、じっと見つめてしまっていたらしい。アデルの視線に気がついたリリスが、不思議そうな顔で振り返ったことで、アデルはハッとして物思いから覚めた。</div>
<div>「あ、いや、なんでもない。・・・・そういえば、君の誕生日はブラウンさんが君を見つけた日になっているのか？」</div>
<div>見つめていたことを誤魔化すように、何気なく話を振るが、振ってしまってから、彼女と彼女が祖母と慕うブラウン氏に血の繋がりがないことをリリス本人は知っているのだろうかと、急に不安になり、話の選択肢を間違えたことに気がつく。「いや、今のはなんでも・・・！」と思わず訂正しかけたところで、リリスはなんでもない顔で、自分の身分証をアデルに差し出した。</div>
<div>困惑した表情で身分証を受け取るアデルに、「心配しなくても、私と祖母の間に血縁関係がないことは、知っていますよ。」とリリスは微笑みながら返す。</div>
<div>「マルグリットさんが、アデルさんにお話されたと言うのも聞きました。」</div>
<div>「・・・そうか。」</div>
<div>それが、彼女の意図したところではないにしろ、彼女には、いつも慌てさせられている気がするアデルである。<br />
</div>
<div>「正確な誕生日は分からないので、登録は祖母が見つけてくれた日になっています。でも、見つけた時点でまだ生まれたばかりだったみたいなので、生まれ年は恐らく間違っていないのではないかと。」</div>
<div>アデルはもう一度「そうか。」と返しながら、渡された身分証を何気なく見聞して、次の瞬間、思わず物凄い勢いでリリスの顔を見返した。ブンッ！と思いっきり風を切る音が聞こえたくらいだ。</div>
<div>「リリス・・・き、君は今・・・・14歳なのか・・・？」</div>
<div>「はい。14ですけど・・・？」</div>
<div>それがどうかしたのかといった表情のリリスに、アデルは戸惑ったまま「・・・そうか・・。」と辛うじて声を絞り出した。少女だとは思っていたが、まさかまだ、士官学校に通っている学生のような年齢だとは思っていなかった。</div>
<div>自身で生計を立てているようでもあったし、どこか学校に通っているような素振りもなかった。<br />
<br />
（いや、よく考えたら、女性がこの年齢で勉学に励むことのできる国は、まだ限られる。あったとして、家柄や入学金の問題もあるし、一概に、この年齢の全ての女性が学生であるとは考えられない。いや、でも、ネリネ国は確か女王が治めている国ではなかったか・・・？）<br />
<br />
ぐるぐるとここまで一気に様々なことが頭の中を巡っては、流れていったが、その答えはどこにあるでもなく、ただアデルは、自分が今から本当に年端もいかない少女を、国外に連れ出そうとしているという責任の重大さに、改めて気を引き締めねばと感じていた。<br />
<br />
アデルが深刻な顔をしているのを尻目に、リリスは興味深そうに「そういえば、アデルさんの身分証はどんなものなんですか？」と聞いてきた。</div>
<div>「え？あ、あぁ、これだが・・・。」</div>
<div>「！わあ！本の形になっているんですね！」</div>
<div>アデルが差し出した身分証を手に、リリスは目を輝かせる。それは、革で出来た赤い表紙の小さな冊子型をしており、ページを捲ると、初めのページにアデルの個人情報が書かれ、それから後のページには、様々な国の印が日付と共に押印されていた。</div>
<div>リリスに発行された紙1枚の身分証とは、雲泥の差だ。</div>
<div>「ガーデンハート国の発行する身分証は、国の成り立ちの特性上、厳密な審査の下発行される。そのため、他国からの信頼が高い。この身分証を持つ者は、基本的に隣接した国に入るのに、煩雑な手続きはいらないんだが、ハイドランジアに関しては内政の問題もあり、現在、検閲が厳しい状況にある。ガーデンハート側からハイドランジアに入るのには苦労しなくても、一度出国して他国へ入ってしまってから戻るのでは、俺でも内側からの迎えが必要になるんだ。」</div>
<div>アデルがそう説明する間に、リリスはアデルの身分証をじっと見つめていて、ゆっくりと顔を上げると、またアデルのことをじっと見返した。</div>
<div>「・・・アデルさんだって、そんなに年齢変わらないじゃないですか。」</div>
<div>「！俺は、もう成人している。それに君とは、6歳も違う。」</div>
<div>「でも、私もラントでは、もう大人として扱われていました。」</div>
<div>リリスは、預かった身分証をアデルに返すと、「だから・・・」と言って、一瞬言い淀んでから、「そんな風に子供扱いされると、寂しいです・・・。」と困ったように眉根を下げた顔で言った。<br />
<br />
思わずため息が出る。</div>
<div>そんな顔をされても、困った顔をしたいのは、こっちの方だと言いたいのを飲み込んで、アデルはリリスの頭にポンッと手を置いた。驚いた顔で、リリスが見上げるとそこには幼い妹にでも向けるような優しい眼差しをしたアデルがいた。</div>
<div>「・・・そういうところが、子供だって言うんだ。」</div>
<div>「な・・！」</div>
<div>「俺も、君をここから連れ出す以上、保護者として必ず君を守る。だから、信じてついて来てほしい。」</div>
<div>「！！」</div>
<div>そんな風に言われて、リリスは何も反論ができなくなってしまった。自分の年齢が分かった途端、急に子供扱いしようとするアデルに、どこか初めて会った時のような距離を感じて寂しかったはずのなのに、今は、アデルの大人の部分を垣間見たような気がして、リリスは少しドギマギしてしまう。<br />
<br />
<br />
「次の方、身分証をこちらへ。」</div>
<div>「！は、はい！」<br />
<br />
言い返す言葉を思いつかないまま、気がついたら、検問の順番が回ってきていた。</div>
<div>離れていってしまう頭の上の重みを少し惜しみながら、リリスは、少し高い位置に設置された木台の上へ手を伸ばして、自身の身分証を検閲官へと手渡すと、検閲官がそれを確認するのをじっと見つめて待つ。別になんの不備もあるはずがないのに、妙にドキドキしてしまうのは、検閲官の眉間に浮かんだ年季の入った皺のせいなのか、もしかすると、この高圧的に感じる高低差をつけた木台のせいかもしれない。</div>
<div>検問の両側には、制服を着た衛兵が立ち、検閲を終え、開かれた門扉を通り抜ける人々を監視している。</div>
<div>たった数秒のことのはずなのに、それがまるで、とても凝縮された時間のように感じた。<br />
<br />
「はい。どうぞ、先へ進んでください。よい旅を。」</div>
<div>「は、はい！ありがとうございます！」</div>
<div>緊張した面持ちで検閲官から身分証を受け取り、リリスは門へと進んだ。後ろを振り返ると、アデルが視線で先に入っているように合図したので、軽く頷いて歩を進める。</div>
<div>門番の横を通る瞬間、妙な緊張で身体に力が入った。リリスは担いだ自らのリュックの肩掛けを握り締める手にぎゅっと力を入れて、門の内側へと足を踏み入れた。<br />
<br />
<br />
「わあ・・っ！」<br />
<br />
門から一歩中に入ると、そこには小さな町が広がっていた。</div>
<div>門から真っ直ぐに伸びる太い道なりに、建物が並んでいる。それらは全て同じようにこげ茶色をした四角い無機質な形をしており、ネリネの国でよく見る木の梁や柱と白い土壁を合わせ、外壁を模様の様に組んだ上に、赤茶色のレンガで出来た屋根瓦が乗った家とは全く異なる様相をしていた。</div>
<div>無国籍地帯とはいえ、場所的には、ここは既にネリネの国境線を超えた、ハイドランジアの内側になる。リリスは急に、自分が他国へ足を踏み入れたのだということを実感した。<br />
<br />
「ネリネとは、全く違うだろう。」<br />
<br />
気がつくと、驚きで固まっていたリリスの隣りには、審査を終えて検問を通ってきたアデルが立っていた。リリスは、コクコクと頷きを返す。</div>
<div>「私、家というものは全て、三角の屋根が付いているものだと思っていました。こういう形のおうちもあるんですね！」</div>
<div>興奮気味に話すリリスの瞳は、また輝きを増している。アデルはどうやら彼女の機嫌が治ったようでよかったと思ったが、それを口に出すことはしなかった。</div>
<div>「ここはまだ無国籍地帯だが、管理自体はハイドランジア側が行っている場所だ。だから、内部の構造も向こうの文化が反映されている。先ほど、入国審査には1ヶ月かかるといったが、その審査待ちのための宿屋なども整備されていて、簡単に言えば、壁で囲われた小さな町といったところだ。」</div>
<div>「壁に囲われた小さな町・・・・確かに、言われなければ壁もよく分かりません。」</div>
<div>二人が立っている太い道の先は、途中で緩く左に折れていて、その先までは見渡せなかったが、なかなか奥まで続いているように見えた。左右も、かなり余裕を持った造りにされているのか、壁の姿は見えない。ともすると、ここがまだ入国前の待合い場所であることを忘れてしまいそうだ。</div>
<div>「毎日多くの人が出入りをするから、内部はかなり広大だ。はぐれない様にだけ、気をつけてくれ。」</div>
<div>またしても、子供扱いされたようで、リリスは何か言いかけたのだが、アデルはそんな彼女の視線に気づかない振りをして話を続けた。</div>
<div>「まずは、ハイドランジア側からここへ迎えに来ているはずの使者と合流する必要がある。検閲官のいる窓口で聞いてみよう。」</div>
<div>アデルが歩き始めたので、リリスもその後を追う。小さな町の中は、当然ながらこれから他国へ入ろうとする旅行者の空気を纏った者たちで溢れており、不思議な雰囲気を帯びていた。<br />
<br />
<br />
「確かに、あんたの分の証明申請は出ているが、もう一人の分は出ていないな。」</div>
<div>「あとから、一緒に来ることが決まったんだ。証明者に会って、直接事情を話したい。証明者の居場所は分かりますか？」</div>
<div>「証明者がどこにいるかまでは、こちらでは管理していない。呼び出しは掛けてみるが、最悪、すでに国内に戻ってしまっている場合もある。」</div>
<div>「分かりました。よろしく頼みます。」<br />
<br />
「どうでしたか？」</div>
<div>窓口での会話を終えたアデルが出てくると、リリスが不安そうな顔で近づいてきた。その表情を見て、おそらくは自分がそういう顔をしているせいだろうと、アデルは思わず自分の眉間を指で撫でる。</div>
<div>「ガーデンハートからの使者は、俺たちよりも先に着いていたようで、俺の分の証明申請はすでに提出されていた。俺だけなら、すぐにでも国内に入国することが可能だが、君の分の証明も行わなければならない。必ずここで落ち合うことにしているから、この中にいないということはないだろう。一度、来ているはずの証明者と合流するつもりだ。が、すぐに見つかるか分からない状況だ。今、呼び出しを掛けてもらっているが、呼び出しと言っても、この内部にいる検閲官たちが個別に宿などに声を掛けるようなものだから、直ぐに連絡がつくとは限らない。・・・意外と、時間が掛かるかもしれないな。」</div>
<div>「そうですか・・・。すみません。私のせいでお手数を・・」</div>
<div>「気にしないでくれ。そもそも、君を連れて行くことを事前に連絡しておかなかった俺の不手際だ。念のため、宿の空き状況も確認してくる。」</div>
<div>そう言って、もう一度、窓口に戻ろうとするアデルの背を「あの、アデルさん！」とリリスの声が引き止める。何事かと振り返ると、そこには星を落とさんばかりにキラキラと瞳を輝かせている少女の姿があった。</div>
<div>「お、お話されている間、そこにある本屋さんに入っていてもよいでしょうか・・・！」</div>
<div>「くっ//・・・どうぞ。」</div>
<div>アデルは笑いを堪えながら、そう答えるのが精一杯だった。<br />
<br />
<br />
リリスは恐る恐る、店内に足を踏み入れた。</div>
<div>内装は、簡素な外装ほどのインパクトはなく、どこの本屋でも同じように、木で出来た本棚が整然と並んでいる。嗅ぎ慣れた紙とインクの臭いに、リリスは途端に顔がほころぶのを抑えられなかった。</div>
<div>棚の手前にある平積みのコーナーを覗き込むようにして目を走らせる。どの本も、自分のいた町では見かけたことのないものばかりだ。気になるものを一冊一冊手に取っては、パラパラと中身を捲って、表紙から紙の感触までを楽しむようにして見ていった。</div>
<div>自分の知らない本が、これほど沢山あるという事実に胸が高鳴る。手に取った本一つ一つが、全てハイドランジアという国の文化を反映したものなのだということを改めて感じる。</div>
<div>（そうだ。絵本のコーナーも・・・もしかしたら、国に伝わる独自の物語もあるかもしれない。）</div>
<div>リリスは、本棚の間を縫って奥の絵本コーナーへ向う。大きなリュックが邪魔にならないように気をつけながら進むが、何分大きな荷物のため、どうしても狭い店内を動き回るのには適していない。過ぎようとした通路の途中で、本を物色する他の客の背にぶつかってしまい、咄嗟に「あ、すみません。」と声をかけながら、そちらへ視線をやった。<br />
<br />
（！）<br />
<br />
リリスは、目を疑う。</div>
<div>（今、この人・・・。）</div>
<div>すれ違った人物が、店の出口に向かったのを見て、気がついたら、思わずその腕を掴んでいた。</div>
<div>「あのっ！」</div>
<div>「！？な、なんだよ。」</div>
<div>腕を掴まれた人物はぎょっとした顔で、振り向く。若い青年だ。服装はいかにも旅人の様相で、布製の鞄を肩から斜めに下げ、頭にはキャスケット帽を目深に被っている。</div>
<div>「あの、もしも私の見間違いならすみません。今、そこに積まれていた本を鞄の中に入れましたよね。」</div>
<div>「！？」</div>
<div>「それ、お会計はまだなんじゃないでしょうか。レジはお店の奥にあります。このままお店を出てしまったら、貴方は・・・・」</div>
<div>「っつ！！離せっ！！！」</div>
<div>「いっ！//」</div>
<div>青年は掴まれていた腕を大きく振り払って、リリスの拘束から逃れると、一目散に店の外へ走り出した。リリスは慌てて店の外まで飛び出して「待ってください！！」と声を掛けるが、それで待ってくれる訳もなく、このままでは見失ってしまう。</div>
<div>騒ぎに気がついた店の主人が、「どうかしましたか？」と店の奥から出てきた。</div>
<div>「今、あの人が、本を盗んで行ってしまいました。警察の方に通報をお願いします！」</div>
<div>「えっ、あんたちょっと・・・っ！！」</div>
<div>青年の背を追って、リリスはその場を駆け出した。<br />
<br />
青年は、太い通りから左に入る小道へと折れた。</div>
<div>この町は、あくまでも入国審査待ちのための施設でありながら、ご丁寧にもちゃんとした一つの町の形で形成されており、厄介なことに、メインの通りから左右にもいくつも小道が伸びていた。</div>
<div>「待ってください・・・っ！！」</div>
<div>「くそっ！しつこいな！！」</div>
<div>相手はどうやらこの町に慣れているようで、いくつもの複雑な道を折れ曲がりながら、リリスを振り切ろうと駆けるが、リリスも、振り切られまいと必死で後を追う。</div>
<div>（動きやすい服装にしておいて、よかった・・・っ！）</div>
<div>このためにそうした訳ではなかったが、いつものワンピース姿では、すぐに振り切られてしまっていただろう。リリスは、パンツスタイルに足にフィットする長いブーツを履いてきていたことに感謝した。<br />
<br />
幾度目かの小道を折れ曲がっていった先に、行き止まりに辿りついた。おそらくは、逃げ急いだ青年が折れるべき道を誤ったのだろう。</div>
<div>そこに立ちはだかったのは、この区域と国内を明確に隔てている堅牢な壁だった。ここは、壁で囲われた区域であるという時点で、逃げ切るには不利な場所だ。道の左手には建物、右手は、ギリギリ跳んで渡るには距離のある川が流れている。</div>
<div>壁に行く手を阻まれた青年は、「くっそ！！」とその壁を強く拳で殴りつけると、背後のリリスを振り返った。リリスは肩で息をしながら、どうにか追いつけたことに安堵していた。</div>
<div>「っはぁ、っはぁ、・・・・っあの、どういう理由があるのか、私には分かりませんが、・・・盗みは犯罪です。まだ、今なら一緒に戻って所定の金額を支払えば、許してもらえます。だからっ・・・」</div>
<div>「ふざっけんな！！そこをどけぇ・・っ！！！」</div>
<div>青年はリリスの言葉に聞く耳を持つ様子はなく、追い詰められたことで、更に頭に血が昇っているようだった。青年の胸元から、きらりと銀色の光が飛び出す。それが、刃の輝きだと気がついた時には、青年はリリスに向かって一直線に走り込んできていた。</div>
<div>「！！」</div>
<div>咄嗟に、人間の反射的な反応として手が前に出ていた。</div>
<div>前に出した手の指の隙間から見えた青年の姿に、リリスは恐怖を覚える。銀色に輝く刃が閃き、それを握り締めた青年の腕が大きく振りかぶられ、それが自身へ向かって振り下ろされるところまで、頭の中でイメージが像を結んだ瞬間、リリスは、自分でも不思議なほど自然に、一歩後ろに下げた右足に力を入れ、衝撃に備えるように硬く地面を踏みしめていた。次の瞬間、青年の刃がくるであろう軌跡を避けるようにして、己の手を青年に向けて伸ばすという動作を彼女が頭の中で半ば無意識に思い描いた時、視界の右側から、突如、リリスと青年の間を割るようにして、別の銀色の光が差し込まれる。<br />
<br />
キィィインッ・・・！！<br />
<br />
金属のぶつかり合う激しい、悲鳴にも似た音が鼓膜を震わせると共に、リリスの目の前に長い茶色のローブを羽織った後ろ姿が現れる。マントの裾が翻るが如く、風になびくそのローブに、リリスは一瞬、時が止まったような錯覚を覚えた。<br />
<br />
<br />
<br />
アデルが、窓口で宿屋の当てをつけて、外に出ると、通りは俄かに浮き足立った雰囲気になっていた。</div>
<div>（何かあったのか・・・？）</div>
<div>あまり目立つ行動はとりたくないと思いながら、道の反対側にある本屋へと向かう。</div>
<div>本屋の前にも人だかりができており、店の主人が何やらこの区域の警備の者と話をしているようだった。瞬間、嫌な予感が襲い、足早に近づくと、店主と思しき男に声を掛ける。</div>
<div>「すみません。ここに、リュックを背負った赤茶色の髪の女の子は来ませんでしたか？」</div>
<div>「！あんた、あの子のお連れさんか！それが、今しがた、盗人をその子が見つけてくれたんだが、逃げられてね。その子も、そいつを追って行ってしまったんだよ。」</div>
<div>「なっ！？」</div>
<div>予想もしなかった事態に、アデルは思わず2秒ほどフリーズしてしまってから、慌てて聞き返した。</div>
<div>「彼女は、どっちへ？」</div>
<div>「この道をまっすぐ行って、3つ目の角を左に入っていったところまでは見たんだが、その後は・・・」</div>
<div>「分かりました。ありがとうございます。」</div>
<div>そう簡単に返して、アデルはすぐにリリスが盗人を追って行ったという道を駆けていった。<br />
<br />
（全く、はぐれるなと言った傍からこれか・・・っ！！！）<br />
<br />
子供扱いしてほしくないと言った彼女を思い出しながら、やはりまだまだ子供だと心の中で返して、とにかく無事でいてくれと、祈るような気持ちで、地面を蹴った。<br />
<br />
<br />
To be continued....</div>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
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    <id>4no5.blog.shinobi.jp://entry/528</id>
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    <published>2018-04-12T02:21:05+09:00</published> 
    <updated>2018-04-12T02:21:05+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>春ですね。</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[お久しぶりです。<br />
私は生きています。<br />
<br />
もう、本当に気を抜くとなんにも更新しない自分をどうしかしたいと半分くらいは思っているのですが、その実、もう半分くらいはなんとも思っていなかったりする、そんな彩瀬です。&larr;<br />
<br />
さてさて、久しぶりにそろそろ重い腰を上げねばと思い、pixivの方で小説投稿用アカウントを作成いたしました。<br />
こちらのHPは保ちつつ、出張的な感じで。（どんな）<br />
<br />
そのうち、リンクも付けようと思っているのですが、まぁ、ぼちぼち進めていきます。<br />
<br />
pixivの方には、こちらに上げていない小説だとかも、気が向くままに投稿していこうかなと思っておりますので、また、気が向きましたら、見てやってください。<br />
<br />
長いこと海外に行っていないなあと思っていたところ、ここ1、2年のうちに、仕事関係で海外に行く機会が思いのほかあって、ちょっと驚いております。<br />
なんだかんだやっぱり忙しくしているのですが、ちょっとね、たまにはね。小説書いたりする感覚を思い出しやがれと己を叱責しながら、元気に生きていきたいと思います。<br />
<br />
なんて、どうでもいい近況報告。<br />
いや、だってほらさ・・・春だから。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>彩瀬</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>4no5.blog.shinobi.jp://entry/527</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://4no5.blog.shinobi.jp/%E5%87%BA%E6%9D%A5%E4%BA%8B/%E3%81%B5%E3%81%A8%E3%80%82" />
    <published>2016-06-02T23:49:38+09:00</published> 
    <updated>2016-06-02T23:49:38+09:00</updated> 
    <category term="出来事" label="出来事" />
    <title>ふと。</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[ふと最近、思うのですが、自分常に生き急いでいるなと。<br />
て、こんなのろま更新しかしていないヤツが、何を宣っているのかと思われるかもしれませんが、これで結構リアルの方では忙しくしているのです。<br />
<br />
なんなんだ急にと思われているかと思いますが、ちょっと日記更新しないとヤバイなとか、そんなことを思いつつ、思うに任せて打っているので、皆様気にせず、持って生まれたスルースキルを発揮してください。（え）<br />
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母から言わせると、生まれた時から、常にしゃべっていたり踊っていたり、忙しい子供だったそうなのですが、こう、成長していって中学とか高校とか大学とか進んでいく中でも、なんだか気づくと、常に色んなことをやっていたような気がしております。<br />
といって、周りの人間が何もしていなかったのかというと、そんなことはなく、私は私のしていることしか目に見えないので、私だけで考えると、やたらと色んなことをしていたなぁと思うわけです。<br />
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そして今も、自分のことをこう、見ていると、やっぱり色んなことをしているなぁと。<br />
常に忙しい状態でいないと生きられない生き物なんでしょうね。<br />
などと、そんなことを思う今日この頃です。<br />
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あの、頑張ってそろそろ小説書きますね・・・。（遠い目）]]> 
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            <name>彩瀬</name>
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    <published>2016-03-06T00:15:06+09:00</published> 
    <updated>2016-03-06T00:15:06+09:00</updated> 
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    <title>「偉大なるマルグリット」鑑賞</title>
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      <![CDATA[久しぶりに、観た映画の感想でも書こうかなあと思いまして、特に意味もなく書き綴ります。<br />
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※以下、ネタバレが含まれます。<br />
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つい先日、「偉大なるマルグリット」を観て参りました！<br />
以前観た「大統領の料理人」でも主演していらっしゃったカトリーヌ・フロ主演のお話です。<br />
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あらすじとしては、1920年フランス、貴族の邸宅でサロン音楽会が開かれる。主催の男爵夫人、マルグリットはとんでもない音痴。しかし、儀礼的に観客たちは彼女の歌声に拍手を贈る。当の本人は、自分の音痴に気がつかないまま、お金目当ての若者にそそのかされて、とうとうリサイタルまで開くと言い出す始末。夫は、彼女に真実が告げられないまま、果たして、マルグリットは自分の音痴に気がつくことはあるのか・・・・・。<br />
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こんな感じですかね。<br />
チラシの煽りの「音楽への壮大で、残酷な片想い」というフレーズに胸を打たれます。<br />
彼女は何故、そうまでして歌うのか。その問いかけに惹きつけられて、映画を観にいきました。<br />
いやぁ、良かったです。これを何系のお話と位置づければいいのか上手く言えないのですが・・・悲喜劇ですかね。<br />
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映画を観ていると、彼女はただひたすらに、夫への愛のために歌を歌っているのだということが分かります。夫の気を引きたくて、少しでも自分を見て欲しくて、狂おしいまでの想いを全て音楽にぶつけていたのでしょう。<br />
彼女が歌を歌い始めた切欠が何だったのかなんてことは、映画の本編には出てきませんが、察するに、夫が彼女から離れていき始めたことだったのではないかなと感じました。<br />
もちろん、彼女自身も音楽やお芝居やアートが元々好きだったのでしょう。でも、それをあれほど熱心にやり始めたのは、夫のことがあったからだろうなぁ。<br />
夫のジョルジュが、どうしてマルグリットから離れていったのかについても、特別な描写はありませんが、あの夫婦はマルグリットの方がお金を持っている資産家なので、ジョルジュはそこの婿養子的な立場だったのかな。結婚して、初めのうちは「逆玉の輿だぜ！」って思っていたとしても、男性というのは、往々にして、女性よりも立派な立ち位置にいたがる生き物ですから、そのうち、彼女と一緒にいることによって、強い劣等感を抱いたのではないかなと。<br />
彼の爵位ですら、マルグリットがお金で買ったものだという台詞がありましたしね。<br />
彼女の方はきっと、純粋に彼を愛するがゆえに、自分が彼のために出来ることはなんでもしてあげたいという気持ちでいたのでしょうが、彼の方はそうされることによって、どんどん自信をなくしていく。それで、彼女から離れ、徐々に距離を置いていったんじゃないかなぁ。<br />
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彼が離れていくので、彼女はなんとか彼の気を引こうと色々やったんでしょう。「あれを買ったわ」「今日は、誰々とあったの」なんてことを話しても、「そうか」とか「ああ」とか「うん」としか反応してくれない夫が、歌のことになると「なんで歌うんだ」「やめなさい」と反応を返してくれる。何よりも、歌を歌っているときは夫が自分を見てくれるのではないかと思ったのではないかなあ。初めのうちは、本当にちゃんと見てくれたのかもしれない。<br />
夫が見てくれることと併せて、自分もきっと歌を歌うことがストレス発散になっていたり、それにのめり込むことで、寂しさを紛らわすことが出来ていたのだろうと思います。<br />
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少女のように純粋なマルグリットを見ていると、彼女を騙そうと近づく若者や、冷たく当たる夫に対して、「こんな素敵な人を悲しませるなんて酷い！」と観ているこっちはおもわずそう考えてしまいます。<br />
執事のマルデボスが本当に優秀で・・・！！彼は、身近で夫婦のことを見ていたからこそ、マルグリットのやることを否定なんてしなかったし、ひたすらに彼女の好きなようにさせてあげたかったんでしょうね。<br />
彼女の純粋さに惹かれた人々は、誰も彼女に「あなたは音痴だ」などとは、言えませんでした。<br />
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最後の終わり方が、また秀逸で。<br />
初めに観終わった時には、「え？これで終わり？」って思ったのですが、観終わってからよくよく噛み砕いてみれば、あれは恐らく、執事のマルデボスが望んでいたハッピーエンドだったんだろうなと。<br />
彼女の意図した形ではなかったにしろ、彼女は歌を歌い続けることによって、夫の気を引き、最終的には、夫を完全に自分の方へ向かせることに成功したんですよね。<br />
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ジョルジュの浮気現場を目撃してしまったマルグリットが、夫へそのことを話すシーンがとても印象的でした。<br />
リサイタル前日の夜に「二人で逃避行でもする？」というマルグリットにジョルジュは「明日は、君にとって大切な日だろう」と返します。でも、それに対してマルグリットは「あなたが、そうしたいと言うのなら、私は歌うのを止めるわ」と言うんですよ。はっきりと。<br />
あんなに、どうしてもリサイタルをやってみたいと言って聞かず、歌の教師まで雇って、毎日何時間も猛特訓して（それでも、上達はしなかったのですが）頑張ってきたのにも関わらず、ジョルジュがただ一言「一緒に逃避行しよう」とそう言えば、彼女はそれを止めると言うのです。<br />
もう、このシーンに彼女の想いの全てが詰まっていましたね。<br />
彼女にとって歌は、どんな時も寄り添ってくれる大切な友人のようなものだったでしょう。でも、彼女はただ、夫に愛されたかった。その愛さえあれは、その歌さえもいらなかったんです。<br />
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浮気相手の女性がそれを一番分かっていましたよね。<br />
「なんで、彼女は歌うんだ」と困り果てるジョルジュに「分からないの？貴方の気を引くためよ。そして、それは成功しているわ。」と泣きながら言います。（この辺、特にセリフ曖昧ですが）<br />
ジョルジュも、本当はちゃんとマルグリットのことを愛していたんですよね。<br />
それをプライドが邪魔してしまって、いつの間にか、気持ちが離れていっていた。でも、愛ゆえに、彼も最後まで彼女に対して「君は音痴だ」とは、口が裂けても言えなかった・・・。（言えないところが、物凄くもどかしい）<br />
最終的に、マルグリットが倒れてしまってから、医者に「彼女を愛している？」と聞かれて彼女の歌声について「他の奴が、それをどう思ったって関係ない。クソっくらえだ！」と吐き捨てるシーンも、胸にくるものがありました。ああ、この人はちゃんと彼女のことを愛していたんだなあと。（なら、ちゃんと彼女を大切にしてあげてよぅ！と心の底から思いましたが）<br />
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マルグリットが可哀想で、私は鑑賞中、また何度も泣いてしまったんですけども。（例のごとく、ボロボロ）<br />
特に浮気現場を目撃したところとかな！ホント、浮気するなら完璧に隠し通せよ！知ったら、絶対に傷つけるんだから！傷つけたくないなら、完璧に隠し通すか、それが出来ないならするな！！と、世の男性陣に言いたい。（真顔）<br />
完璧に隠し通す場合は、隠し通した上で、奥さんを一番に大切にちゃんと愛してあげて、愛情表現をすることな。それが出来ないなら、浮気はしてはいけません。<br />
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あれ？なんか、趣旨変わっとる・・・？<br />
まあ、いいか。<br />
とにかく、良かったです。マルグリット。<br />
気になった方は、是非是非劇場まで足をお運びくださいませ。<br />
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            <name>彩瀬</name>
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