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機械仕掛けのトマト

何かあったら、書いてます。いろんなことが織り混ざっているので、何でもこい!な方はどうぞ。
更新は、遅いかも。

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2025/07/16(Wed)19:07

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終わってしまいましたね、バレンタイン。

2010/02/15(Mon)00:46



今日・・・・というか、バレンタイン当日は、家でマフィンを作っておりました。
バレンタインを理由に、急に久しぶりにお菓子が作りたくなったので。エスプレッソ風味のホワイトチョコマフィンです。
思っていたよりも美味しかった。私と家族の今日のおやつです。(笑)
妹は、毎年ちゃんと作っているマメな人なので、自分のを終えてから、妹のクッキー作りを手伝っていました。なので、今日は一日中家の中が甘い匂いでいっぱいでしたよ。
気がついたら、最後のラッピングまで手伝っていた。
こ、こんな大量にあげるのか・・・・が、頑張って配ってこい。
あ、妹の学校は女子校なので、もちろん全て友チョコです。
うちの母は、一人で、次々に出来てくるお菓子を食べて喜んでおりました。うん。君がお菓子好きなのは知ってるから、その反応は予想通りだ。

ん?バレンタイン小説は、どうしたって?
えっと・・・・い、今頑張っているので少々お待ちを;;
いちお、頑張る気にはなりましたので。でも、リボーンの方です。ナルトで見に来ている方々、ホント、スミマセン;;
下忍サスナルの素直になれないツンツンバレンタインも、可愛くていいなぁと思ったのですが、今回はとりあえずリボーンの方で。日付は過ぎましたが、近日中に更新できたら・・・・いいな。(希望的観測)

バレンタインが終わったら、次はなんでしたっけねぇ・・・・・・あ、猫の日が近い・・。
また、スッカリ忘れてた;;
何か出来たら・・・・凄いですね。(他人事)
また、頑張る気になったら、頑張ります。
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No.320|出来事Comment(0)Trackback

Happy Valentin!!

2010/02/14(Sun)00:18



バレンタインですね。
というわけで、皆様に私から日頃の感謝を込めて↑のケーキを差し上げたいと思います。
手作りならぬ、手描きケーキ。
下に敷いてあるレースまで手描きクオリティ。実は、レースの素材を持っていなくて、「持ってないなら、自分で描けばいいじゃない。」の精神で描きました。そのため粗が目立ちますが、どうかそこは汲んでやって下さいまし。
今日限定のフリー配布ですので、今日中でしたら、お持ち帰りOKですよ。
ちなみに、大きいバージョンはサイトのHOMEに置いてあります。もっとよく見たい方は、どうぞ。・・・あんまり、よく見られても困るのですが・・;;
ケーキの上の文字と絵はチューブ型のチョコレートペンで、端についてるつぶつぶはあの、キラキラしてるチョコのやつ。(何)そしてサイト名は、クッキーで出来ております。あ、ケーキの上部中央にある薔薇は、マジパンか何かです。(何かってなんだ)砂糖菓子の可能性も捨て切れませんが・・・。(あんまり考えてなかった)
とりあえず、愛だけは詰まっておりますので、どうぞご賞味あれ。(笑)


No.319|イラストComment(0)Trackback

さぁ、遅くなったが今日の感想だ。

2010/02/13(Sat)18:57

言うよりも、そんなに遅くはないと思いますが、今日のアニリボ感想です。


今日はですね、初っ端のOP後の静止画の時点で作画が綺麗&山本がイケメンやったので、ちょっとテンションが上がりました。
とりあえず、今日はイケメン山本のターンだった。
最後の技を決める瞬間のチラ見した視線とかポーズが凄く格好良くて、「ヤバイ、これは後で一時停止して見てみなければ」と思っていたら、スタッフもちゃんと分かっていらっしゃる。ED後にあのシーンの停止映像を出して下さった。ありがとうスタッフ!予想通りイケメンでした!
そして、何かと嬉しそうに山本を語るスクアーロ。分かった分かった。君が山本大好きなのは、よく分かった。(笑)
しかし、珍しく横からちゃちゃを入れに入る雲雀さん。
「あれが、山本武だよ。」
はっ!?新手の山本語り要員。
あの時、全国の山ヒバファンがキュンとしたことでしょう。が、しかし!私はここで、敢えてスク山、ヒバ山を推奨する!!(えぇ!?)
あああ、主人公受け以外は、悉くマイナーカプに走る私を、どうかお許し下さい。(誰に向けた言葉なのか・・・)
あとは幻騎士とかの件でしたが、あの人はつくづく可哀想な人だと思うよ。それにしても、無駄にグラビアポーズをキメに走る白蘭さんにびっくりだ。あれで幻騎士を落としたんですか、あなた。(間違った解釈)
次回はハハンッが来ますね。楽しみです。

そうそう、バレンタインのことですが、結局絵を一枚描きました。(何故に)
明日一日だけ公開しますよ。明日一日だけでしたら、お持ち帰り可ですよ。誰もいらないとは知りつつ。
ちなみに、携帯の方も持ち帰れるように小さい絵も用意しました。日記にも貼っておきます。(日付変わったら)
一日だけ公開とは言っても、お持ち帰り可の状態で公開されるのか明日だけなのであって、またすぐにPICTに移動しますがね。
あの・・・小説・・・・・書いてなくてスミマセン;;小説サイトなのに・・・・。(遠い目)
バレンタインなのに・・・・。(更に遠い目)
あの、気が向いたら・・・頑張れたら、書きますです。はい。

そういえば、星座彼氏シリーズは今年もガンガン攻めてきますねぇ。
全部買う気はないんですけども、妹と二人して財布の中身が寂しい感じになりそうな予感で、今から凍えておりますよ。でも、PSP移植版は買わん!うちには、PSPがないのじゃ!それに、折角春夏秋冬のPCゲームを全部手に入れてプレイしたのに、PSPでもう一度やるとか、ちょっとなぁと・・。シナリオ追加されてるらしいけど。CG増えてるらしいけど・・・・。でも、いつか何かで見れることを信じて。

うおぉ!夕飯のポトフの良い匂いが部屋の中に充満しているよぉ。
にんじんが柔らかくなるまで、よく煮込むのじゃあ!
ではでは、日付変わってバレンタインになったときにまた。
 

No.318|出来事Comment(0)Trackback

もうすぐバレンタイン。

2010/02/11(Thu)22:57



とりあえず、今日のアニナル感想。


今日は、ウタカタさんの過去がどうとかって題がついていたのに、結局あんまり詳しくは出ませんでしたね。
というか、ウタカタさんが勘違いしてるっぽい?師匠は、実は良い人?
物凄い戦闘シーンでもあるのかと思っていたら、なんかすんごいあっさり話し合いで解決してしまったので、残念でした。あと、ウタカタさんがホタルちゃんの背中を他の人に見せないように配慮してあげたのに、ナルトが簡単に見てしまうという・・・・え、もう見ちゃうの・・?というか、あれだけ配慮しておきながら、ウタカタさんの警戒心の無さにびっくり。
これから久々にサクラちゃんとも合流ですが、これ以上ホタルちゃんを守りきれないなら殺すって方向に話がいきそうですね。ホタルちゃんが死ななくても済む方法としては、ウタカタさんが師匠に対して抱いていた気持ちを解決して、これからもホタルちゃんを守っていくとか、師匠になって一人で生きていけるだけの力を付けてあげるとかでしょうか・・・・あ、でも六尾って暁に倒されちゃうんじゃ・・・・どうするんだろう・・。
そして、今このオリジナルの話で師弟関係の物語を持ってきたのは、どう考えてもナルトが里に帰って自来也の死を知った時を、より衝撃的にするためですよね。ふおおおおっ!!悲しいじゃねぇか、こんちくしょう!
きっと、ナルトが自来也との思い出を回想する回は、綺麗な絵で描かれるのではないかと。アニメスタッフの自来也への愛は半端ないからな。
そこが楽しみでもあり、辛いとこでもあり・・・くぅっ!とりあえず、今はオリジナルを楽しむぜ。


そんなこんなで・・・・いやぁ、もうすぐバレンタインですねぇ。(唐突)
そんなわけで、超短期間の期間限定TOPに変えますですよ、はい。
日付が変わり次第変えたいと思います。たった3日間の限定TOP・・・昨日作りました。(遅い)
2月になってから、度々、「そういや、2月はバレンタインというイベント様が待ち受けておったなぁ」と思い出してはいたのですが、「どうしようなにしよう」と考えているうちに、こんなに時間が経っておりました・・・;;
そこで、急遽TOPだけ変えてみようかなぁ・・・なんて、思ったり思わなかったり。(どっちだ)
思ったんですけども・・・その、肝心のバレンタインに何をするかを決めていないんですよねぇ。14日までに何か出来たら、よくやった方だと思います。
頑張ろう・・・。

そういえば、久々に日記連載の小説をUPしましたが、殆ど半年ぶりでしたね。のろのろ更新すぎて、スミマセン;;
未だに第一章が終わっておりませんよ;;
予定では、第一章が8話ぐらいあるので、かなり気長に待って頂かないといけない感じですね。
気長にお付き合い下さい。

ではでは、頑張ってバレンタインに向けての準備でも・・・・。

No.317|出来事Comment(0)Trackback

『Garden』-第一章:魔女の岬に住む少女③-

2010/02/11(Thu)00:06


「あ、アデルさんこんにちは。」

リリスは朗らかに微笑んだ。
その笑顔に、アデルは思わず気が抜けるような感覚に陥る。自分の判断が間違っていたのではないかと、考えてはいけない考えが頭の中を掠めた。


「・・・何を、しているんだ?」
家を囲む背の低い石垣の外側から庭の中を覗く。
リリスは一日前と同じような服装に身を包み、ブリキでできた如雨露を手に庭に出ていた。アデルは質問をしてから、その姿を見れば一目瞭然だなと、それが愚問だったことに気づいたが、それでもリリスは質問をされたことが嬉しいのか笑顔を崩さないまま答えを返す。
「お庭の植物たちに水をやっています。ほら見て下さい。秋に蒔いたカモミールが、もうこんなに育っているんです。花も咲いて、そろそろ収穫時ですね。そうだ!今度はカモミールティーでも、ご一緒にいかがですか?」
「え、あ、あぁ・・;」
まさか自分の聞いたことに対して、そこまでまともに反応されるとは思っていなかった上に、お茶に誘われるなどとは微塵も考えていなかったため、アデルの口から出た返事は宙に浮いたようなものになる。
本当に、この少女は何を考えているのか分からない。
どうぞと言って自分を庭の方に招き入れた手に誘導されるように、アデルは手前にある小さな門を静かに押し開けた。


国から命ぜられた極秘任務を抱えて訪れた魔女の家。そこに住んでいたのは、まだ年端もいかないような少女が唯一人。
彼女の話を聞いて一度は任務失敗かと諦めかけたが、彼女が纏う不思議な雰囲気に賭けて、アデルはもう少し様子をみてみることにした。ここに来た理由についてはちょっとした仕事だとしか言わなかったのだが、リリスはとりわけ気にする様子もない。それどころか、しばらくここにいるのなら自分の家に泊まっていくのはどうか、などと提案してくる始末。
警戒心も、ここまで薄いと逆に心配になってくる。
流石に娘が一人で暮らしている家に、男が泊まるのは道徳的によくないだろうと言って断った。別に紳士を気取るわけじゃないが、これは十分常識の範囲だ。本当を言うと、理由の半分は、自分が眠っている間に魔女に襲われたらどうしようか。などと考えていたからだったりもするが、そこは秘密だ。
その日は街の方に行って宿を取り、一晩明けて今に至る。


庭へ足を踏み入れてリリスのいる所へと向かえば、今度は屈み込んで土いじりを始めていた。小さな家を取り囲むように自然が溢れる庭。門から家まで続く小道が綺麗に庭を二部し、その丁度右側の庭には、一件無秩序なようにも見える形で季節の花々が咲き乱れる中、一角には他とハッキリ区切られた小さな畑がある。
アデルはリリスの手元を覗き込んだ。ブリキの如雨露を傍らに置き、しゃがみ込んで柔らかに平された土を、これもまたブリキ造りの小さな水色スコップで掘り起こしている。ある程度掘り起こすと、その穴の中に植物の苗を植え始めた。
「これは?」
まだ花も実もつけていない背の低い植物。優しく根を包むように上から土をかけ、リリスはにっこりとアデルの方を仰ぎ見た。
「トマトの苗です。これが大きく育つと、夏にはおいしい実をつけてくれます。生のままサンドウィッチにしても美味しいですし、潰して煮込めばソースにもなります。トマトスープも身体が温まって素敵ですね。」
そう言って再び土の方に向き直ると、すでに植えた苗の隣りにもまた別の穴を掘り始める。彼女の背後には、植えられるのを待っている苗たちがまだ幾つか置かれていた。

「・・・・。」

サクサクと、土とスコップが奏でる平和でなんとも長閑な音が流れる。
激しい手持ちぶさた感に、アデルはどうしたものかと思わず太陽を振り仰いだ。燦々と照る太陽は、それでもまだ夏のような強さはなく、薄ぼやけた輪郭で春の仄温かさを地上へと投げかけていた。
しばらく傍で彼女の様子を見る。そう決めたものの、具体的にどうこうするでもないし、ストーカーのように四六時中離れた場所で見張っている気もない。だからこそ、出会ってから一夜明けた今日、とりあえず様子を見に、泊まった宿から再びこの家へと赴いているのだが・・・。

(さて、どうしたものか・・・。)

当のリリスは、相変わらず薄茶色の髪を朝の陽光に煌めかせながら、せっせと庭仕事を続けている。
基本的に任務としては、魔女の岬に住む魔女に会い、彼女の力を確かめ、それから次の段階にいく。目的地に辿りついて“魔女”と、そう呼ばれている人間には会うことが出来たが、彼女の力の有無を確かめるという段階で想定外の自体が起きてしまった今、自分でここに留まることを決断したとは言え、アデルとしては、正直どうしていいのか分からずにいた。
日がな一日、こうして突っ立っているというのも間抜けな話だ。

何かすることはないだろうかとアデルが周りに目を向けると、今まで土の方ばかり向いていたリリスの瞳が、自分の方に向いていることに気がついた。そのまま、彼女はアデルの双眼をじっと食い入るように見つめる。
「・・な、なんだ・・・?;;」
滞った空気に堪えきれずにアデルが言うと、彼女はぽんっと軽く手を打つ仕草をして、「アデルさんも、一緒にやりませんか?」と笑いかけた。
「何を?」と聞きかけて、それもまた愚問だと喉の奥に押しやっている時には、リリスはそそくさと別のスコップを取りに向かっていた。意外と行動力のある少女だ。
「はい、どうぞ。」
そう言ってスコップを差し出されてしまえば、否とは言えなかった。

「すみません。私、気がつかなくて。私が一人で作業をしていたら、アデルさんがお暇になってしまいますよね。」
「いや、それは別に、構わないんだが・・・・。」
そう答えながら、アデルは彼女が今まで植えた苗と同じくらいの間隔で苗を植えるための穴を掘っている。作業に邪魔なシャツの袖をたくし上げ、良い天気の下、しゃがみ込んで土に向かう彼を、一体誰が軍人であると思うだろう。
リリスに手渡された苗を受け取って、そっと土の中へと植え付けながら、思わず任務を忘れそうになる己の頭を叱責する。お前はガーデンハート国国軍少佐、アデル・ガーランド。これもまた任務遂行のためだ。と、何度も己に言い聞かせるが、それすら何か虚しい行為のように思えてくるのだから悲しい。
リリスの手伝いを始めてから3本目の苗を植えたところで、アデルはふとスコップを持つ手を止めた。

(そうだ。これは任務だ。彼女と言葉を交わしたのは昨日が初めて。初対面の人間に対して、初めからなんでもべらべらとしゃべる人間など、まずいない。彼女が嘘をついているようには見えないが、話していないことならまだあるはずだ。)

ただ彼女に付き合って土いじりをしていたのでは意味がない。アデルは途端にやる気を取り戻し、手を動かしながらもリリスに話し掛けてみようと試みる。
「リリス、君は昨日薬草を使って薬を作っていると言っていたが、その薬を作るのに、その・・・何かコツ、のようなものはあるのか?」
我ながらおかしな質問だと言うことは重々承知の上だ。アデルは言ってしまってから、キョトンとした顔で自分を見ているリリスの視線に、居たたまれない気持ちになっていた。
「コツ・・・ですか?」
リリスは軽く首を傾げながら、なにやら真剣に考え込んでいる。こんな質問にそこまで真剣に考えてもらっても、アデルにとっては逆に恥ずかしさを増す要因にしかならない。これではまるで、これから家庭内菜園を行おうという初心者が、先輩園芸家に指導を乞うているようではないか。スコップを持ち、今正に家庭内菜園の手伝いをしている身では、それを否定するような力は、残念ながらないに等しかった。
しばらくの考慮時間があった後、リリスは質問への答えを返す。
「そうですね。昨日も言ったと思いますが、特にこれといって特別なことはしていません。ただ、出来上がった薬が使った人の身体によく効きますようにと、心を込めて作っているというのが、強いて言えば“コツ”になるのかもしれませんね。」
「そ、そうか・・・。」
優しく、微笑みすら浮かべながら丁寧に質問に答えてもらい、アデルの居たたまれなさはピークに達する勢いだ。そんなアデルの気を知ってか知らずか、リリスは更に話を広げて答えてくれる。

「後は薬草ですが、使っている薬草はこの庭で採れたものの他にも、森の中に生えている野生のものも使ったりします。ここにはない種もありますから。」
「森?」
聞き返せば、リリスはスッと右手の人差し指を石垣の向こう側へと向けた。
「街へ向かう広い道からこの家まで来る間に通ってくる、あの森のことです。」
差された方向には、この家から真っ直ぐ伸びた飴色の道が続く鬱蒼とした森。確かに、アデルもあの森の中の道とも呼べないような道を通ってここまで来たのだ。
街まで続く広い道とこの岬を隔てる森には、役目を果たしているのか怪しい道が一本通ってはいたが、あの道を通ってきた者としては、酷く心許ない道に、一歩間違えば迷ってしまいそうな深い森であったというイメージが強い。黒々と生い茂った木々は、皆一様に太陽の光を奪い合うかのように葉を広げ、重なり合い、その下も木の表面をびっしりと覆う苔や絡み付く蔓の所為で、一面が濃い緑色をしていた。誰も手入れなどしてはいないだろうそこは、足下にある獣道のような草木が軽く折れた程度の道を見失ったら最後、もう出口へは辿り着けないのではないかとさえ思えた。少なくとも、出来ることならばなるべく通りたくはない場所である。
そのためアデルは、街へ向かう別の道をわざわざリリスから聞き出したくらいだ。実はあの森は街の方まで横長に続いているのだが、街へ続く道と岬を隔てているだけで、街から岬へは森を通らずとも簡単に行き来が出来るのだった。
軍の野外訓練地で訓練を受けたアデルでさえ、そんな風に思い、畏怖を感じる森。そこにリリスは、一人で薬草を採りに入り込むという。
本当なのだろうかと、ついつい疑って掛かってしまっても無理はない。

(やはり、この子には何か不思議な力が・・・・)

アデルは訝しげな表情で、じっとリリスの横顔を見つめた。
するとリリスは、その視線をどう受け取ったのか。また優しい微笑みを乗せた表情で、アデルのそれに自分の視線を合わせる。
「自然の恵みには、不思議な力があります。生命の源。生きようという生へのエネルギーが、自然のものには宿っている・・・だから私たちは、心や身体の調子が良くない時なんかに、植物や動物からその生命エネルギーを分けて貰うんです。」
「生命エネルギー・・・?」
聞き慣れない言葉に、アデルは自然と聞き返していた。動植物から、生きるためのエネルギーを分けて貰っている。そんなことは、今まで考えたこともなかったのだ。
リリスは、不思議そうな顔をしているアデルに向かって力強く頷いてみせる。
「はい。薬草を摘んで、それをお薬にする作業はもちろん私がやっていることですが、それはただその薬草の持つ生命エネルギーを人間が取り入れやすい形に変えているだけであって、根本はその薬草の力です。だから私は、薬を作る時に特別なことなんてしません。想いを込めるだけで十分なんです。」
風が、緩やかに2人の間を流れていった。作業中に跳ねた土の所為か、薄く汚れたリリスの顔は、どこか頼もしささえ感じる。少しの違和感もなく、リリスの言った言葉達が胸の中に浸透していき、彼女の言ったことはきっと本当なのだろうと、いつの間にか納得している自分に気がついて、アデルは何か魔法にでもかけられたような気分になった。

真っ直ぐな視線が眩しくて、気づけばリリスから視線を手元の土へと戻していた。
「そ、そういえば、俺がここへ来たときもあの森から出てきたな。あの時は、どうしていきなりぶつかってきたんだ?」
気まずい空気を払拭しようと、思わず話題を変える。実はずっと聞きたくて、あれがわざとだったらどうしようかと聞けずにいた質問だった。アデルは質問をしながら、いそいそと手元の作業を再開していたのだが、すぐに返ってくると思っていた質問への答えはなかなか返ってこない。
気になって再び隣りを見ると、赤い顔をしたリリスが植え終わった苗を見つめてじっと固まっている。
「・・・どうした?」
「・・あの・・・笑わないで下さい//」
「?」
ぼそりとそう呟いて、リリスは答えた。
「あの時、家へ帰ろうと思ったら、いつもの出口が暗くなっていたので出口が塞がってしまったんじゃないかと心配したんです。それで慌てて、いつもの出口まで走って行って・・・・」
そうしたら、見事出口の直前で躓き、そこに立っていたアデルの背中に激突したのだという。
アデルはポカンとしたまま、リリスの言葉を聞いていた。
「あの、すみません!まさか、暗かったのがあそこにアデルさんが立っていたからだとは気づかずに、勝手に勘違いしてしまって;;その・・・・決して、わざとぶつかろうと思ったわけでは・・;;」
恥ずかしそうに頬を染めながら、必死になって弁明を試みるリリスの懸命な姿に、知らずアデルの口角は上がっていた。あの時、自分があんなところで立ち止まっていたことが、彼女を驚かせてしまったのかと少々申し訳なく思う反面、それでもわざわざ走る必要はなかっただろうし、その上何もタイミング良く出口直前で躓かなくてもいいだろうとも思う。それも、大の男を一人倒れさせることが出来るような物凄い勢いで。
「・・くっ・///」
「わ、笑わないで下さい!//;;」
アデルは、最初にこの少女に会ったときに自分が抱いていた考えすら可笑しくて、益々もって頬を緩めた。相手が魔女だと思って、緊張していた自分が馬鹿らしい。相手の方に敵意も何もない上に、躓いたことすら彼女の意識の範囲外のことだったのだから、いきなり背後に人が現れたことに自分が気づかなかったのも仕方がない。
しばらくの間、静かに笑い続けるアデルに、リリスは困ったような顔をしながら残りの苗を植えていた。


「よし、これで最後だな。」
トマトの苗を全て植え終えて、二人は充足感に充ちた顔で立ち上がる。いつの間にか真剣に作業を手伝っていた己を、これは彼女の作り出す不思議な雰囲気の所為だということにして、もう咎めることはしなかった。
「はい。アデルさんのおかげで、作業が捗りました。ありがとうございます。」
リリスの紅茶色の瞳が、一際キラキラと輝いていた。
低い姿勢から立ち上がって、改めて辺りを見回してみると、この場所は本当に美しい場所であると再確認させられる。アデルは己がその庭の中の一部になってしまったような気さえした。ここに漂っている空気は色彩鮮やかで甘く、どことなく懐かしい。
アデルが目を細めながら黙って佇んでいると、いつの間にかリリスが隣りに並んで立っていた。すぅはぁと、大きく深呼吸をする姿は、まるでこの場所の空気に馴染んでしまおうとするようだ。そして、アデルと同じように庭を眺める。
「・・・凄く素敵ですよね、このお庭。私のお気に入りなんです。」
「祖母のものだと言っていたな。」
「はい。今は私がこうして手入れをしていますが、元々は全て祖母がやっていたことですし、私はそれを引き継いでやっているだけです。この庭をここまで造り上げた祖母は、本当に素敵な人だと思っています。」
この場所が懐かしく感じるのは、彼女の祖母の想いがこの庭に残っているからだろうか。
リリスの言葉の端々から、彼女の祖母に対する想いが伝わってくるようだった。

「私、夢があるんです。」

庭全体を見渡しながら、リリスは唐突にそう発した。
「・・夢?」
聞き返しながらアデルは彼女の方を向いたが、リリスの瞳はどこか遠くを見つめたまま動かない。その瞳は、いつか未来への希望を映しているのだろうか。陽光の加減で紅色や黄金色に煌めいて、時にそのどちらでもない不可思議な色合いで瞬くそれは、まるで空の果てを思わせる。
強く、それでいて柔和な輝きを持つその瞳を笑みで彩って、彼女は答えた。
「いつかこの庭に、薔薇の花を植えることです。」
「ばら?・・・というと、確かローズ国の国花だったな。」
ローズ国は、ここGardenに存在する18ヵ国のうちでも大国と言われる国の一つだ。
ここの国王は争いを好み、自身のことしか考えようとしない偏った考え方の持ち主で、莫大な土地を持つローズ国を手中に入れても尚、更なる権力を欲する欲深い人間だった。
ガーデンハート国が建国された当初、そのことに一番反発したのもこの国だ。
独占欲も強く、他国の技術を盗むが自国の技術は一切他国には渡さない姿勢を取っており、それはガーデンハート国が建国され、議会で物事を話し合う場が設けられても変わることはなかった。国花である薔薇も同じように、ローズ国が完全に独占し他国での栽培の一切を許してはいない。
ガーデンハート国建国以後に起きた主な戦争のその殆どが、この国主導の下起きたものだった。

アデルはふと頭の中を過ぎる嫌な思い出を掻き消すように、すぅと柔らかな空気を肺の中に取り入れた。気持ちを落ち着けてから、ゆっくりと言葉を口にする。
「どうして・・・薔薇なんだ・・?」
「・・・祖母の、夢だったんです。」
リリスはほんの少し、瞳の奥に寂しさを漂わせた。しかしそれも、一瞬にして消えていく。
「ここには沢山の花が咲いています。各国の国花も全て揃っているんです。でも、薔薇の花は・・・・薔薇の花だけはありません。祖母は言っていました。いつか、この庭に薔薇の花が咲いたときには・・・その時には、世界は平和になるんだって・・・・。」
「・・・・。」
アデルは温かな春風を身体全体に受け止めながら、同じように風に揺れる花々を見た。
そうか、ここは世界なのか。と、自然とそう思っていた。この庭は世界。ここには、彼女の祖母が造ろうとした平和な世界が広がっているのだ。しかし、彼女がそれを造り上げることは叶わなかった。そして今、この幼い少女がそれを造り上げようとしている。

(この子が・・本当に、俺達の求めている魔女であれば・・・・)

気がつけば太陽は中天に昇っていて、そろそろお昼時になる頃だ。
辺りに立ち込めた寂しい空気を吹き飛ばすように、リリスはアデルに向かって、いつもの花のような笑顔を向けた。
「さ、そろそろお昼にしましょう。すぐに用意しますから、手を洗って待っていて下さい。」
そう言って彼女は、スコップと如雨露を片付けて足早に家の中へと入っていった。
言われてから初めて、アデルは自分の腹が空腹を訴えている事実に気がつく。いつのまにか、当然のように自分も一緒に昼食を食べることが決まっていて、それに突っ込む隙も与えないリリスの行動の速さに、彼は小さく苦笑を漏らした。

これでは完全に、相手のペースだ。
アデルは軽くズボンの裾についた泥を払い、両手を叩いてとりあえず目に見える汚れを払い終えると、きちんと手を洗うべく、リリスに続いて家の中に入っていった。


To be continued….

 

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